青赤フェアリー

  • 2021.1.16
    デッキ紹介
    加糖

     

    ■デッキリスト

    画像付きリスト・MOリスト

     

    ・土地
    4:《灰のやせ地/Ash Barrens》
    3:《進化する未開地/Evolving Wilds》
    10:《冠雪の島/Snow-Covered Island》
    2:《冠雪の山/Snow-Covered Mountain》

     

    ・クリーチャー
    4:《フェアリーの予見者/Faerie Seer》
    4:《呪文づまりのスプライト/Spellstutter Sprite》
    4:《ボーラスの占い師/Augur of Bolas》
    4:《深き刻の忍者/Ninja of the Deep Hours》

     

    ・呪文
    4:《渦まく知識/Brainstorm》
    4:《定業/Preordain》
    1:《払拭/Dispel》
    4:《対抗呪文/Counterspell》
    3:《失墜/Fall from Favor》
    3:《稲妻/Lightning Bolt》
    4:《雪崩し/Skred》
    2:《削剥/Abrade》

     

    ・サイドボード
    2:《嵐縛りの霊/Stormbound Geist》
    2:《水流破/Hydroblast》
    2:《ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman》
    2:《焦熱の連続砲撃/Fiery Cannonade》
    4:《紅蓮破/Pyroblast》
    1:《渦巻く砂嵐/Swirling Sandstorm》
    2:《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》

     

     

    ■はじめに

    1月14日、公式からの告知があり、Pauperにおいて《失墜/Fall from Favor》が禁止となりました。
    撮影時は当然禁止ではなかったため、動画は《失墜》入りとなっていますが、当記事の公開時点では構築不可のデッキとなっております。

     

    ■概要

    《呪文づまりのスプライト》と《深き刻の忍者》、そして環境最強呪文である《失墜》を主軸とした、青赤のクロックパーミッションデッキです。
    各フェアリーによる飛行クロックや忍者によるアドバンテージで相手にプレッシャーをかけ、隙あらば《失墜》で統治者を手に入れ畳み掛けます。
    相手の脅威は打ち消しや除去でいなして優位を維持し、勝利を目指します。
    タッチカラーの赤は、軽量火力による盤面への対応力や、青いデッキに対して強く出られる《赤霊破》を使用できる点が魅力です。

     

    ■強みと弱み

    もともと《呪文づまりのスプライト》、《深き刻の忍者》、《対抗呪文》、《稲妻》、《雪崩し》と個々のカードパワーが高いデッキでしたが、統率者レジェンズで登場した《失墜》によって更に強化されました。
    《失墜》は発表当時から注目されたカードであり、今までのPauperフォーマットの基準であった「4マナの統治者クリーチャー」のラインを大きく超えるカードパワーを持っていました。
    環境に存在する様々なデッキが《失墜》の採用を検討しましたが、その中でも一番《失墜》を強く使え、また《失墜》への対応力の高さから一躍環境使用率No.1へと躍り出たのが、この青赤フェアリーです。
    青赤フェアリーの統治者との相性は非常に良く、軽量火力や打ち消しで相手から統治者を守ることが容易であり、また相手の統治者を得る呪文、特に相手の《失墜》に対してはサイドボードからの《赤霊破》で打ち消したり、スプライトで奪い返しにいったりと、臨機応変に動くことが可能でした。

     

    《失墜》を手に入れたことにより、環境に存在する様々なデッキへの対応力はさらに高くなりました。苦手なデッキはあまりありませんでしたが、デッキ全体でのリソース管理や、青のデッキの醍醐味でもある相手のカードを打ち消す、打ち消さないの判断など、シビアなプレイングが求められるデッキでした。
    また、同型(ミラーや青黒フェアリー、青黒デルバーなどのクロックパーミッション)との対戦では統治者の確保がゲームの勝敗を分ける主な要因となっていて、ひどい試合だと場に4~5枚の《失墜》が貼られるほど熾烈な統治者の奪い合いが行われており、どこで統治者争いをスタートするのか、統治者を守るのか、一度渡すのかなど、輪をかけて繊細なプレイングが求められました。(ちなみに、相手の手をすべて読み、綺麗に捌き切って得た統治者が相手の《失墜》トップデッキで返されることも沢山ありました。)

     

    ■主要カード紹介

     

    このデッキの主な勝ち筋は2通り(あるいはその両方)です。

     

    ・《呪文づまりのスプライト》と《深き刻の忍者》の強力なアドバンテージ獲得エンジンによるクロックパーミッション
    ・《失墜》によって得た統治者によるコントロール

     

    前者はパウパーという環境の中でも屈指の強ムーブであり、《呪文づまりのスプライト》で相手のカードを打ち消し、そのスプライトを戻して《深き刻の忍者》で攻撃、盤面に無視できない脅威を作りながら相手の対応にはスプライトで睨みを効かせる、という動きが決まれば、5ターン目あたりで相手が投了するということも珍しくありませんでした。

     

    後者はとにかく強すぎる《失墜》のカードパワーで相手を殴り、統治者でアドバンテージを得ながら引き込んだ打ち消しや火力でコントロールをし続けて勝利します。ただこのデッキでは《失墜》の3マナというのはかなり重く、カウンターや除去を構えながらキャストするにはある程度時間がかかります。
    早期ターンに《失墜》を唱える際はしっかりと統治者を守りきれるかどうか細心の注意を払う必要がありました。相手が一枚上手であれば、統治者を奪われ、取り返すことができずに負けてしまうというリスクがあったからです。

     

     

    ・《フェアリーの予見者/Faerie Seer》

    優秀な1マナのフェアリーです。
    欠点といえば絵が気持ち悪いことくらいで、単体でも出すだけで仕事をし、《呪文づまりのスプライト》、《ボーラスの占い師》、1マナドロースペルとのシナジーも強力です。
    先手1ターン目の予見者キャストは、序盤のドローの安定化、スプライトの対応範囲の拡大、2ターン目の忍術による強力な押しつけといった仕事を行ってくれるため、先手であれば積極的に狙いたい動きとなります。

    逆にフェアリーを相手にする場合は、1ターン目の予見者は除去しておくとゲームが良い方向に向かうことが多いです。

     

    ・《雪崩し/Skred》

    赤1マナで、《稲妻》で焼けないタフネスを持つクリーチャーを除去することができます。
    主な対象としては青黒デルバーの《グルマグのアンコウ》や、ジェスカイ親和の《マイアの処罰者》、赤緑系の続唱デッキから出てくる《苛立つアルティサウルス》などです。
    タフネス3以下のクリーチャーも焼くことができますが、いざ前述したクリーチャーらが出てきた時に使用できないとそのまま負けに直結してしまうこともあるので、何に使用するのかをしっかりと見極める必要があります。(《失墜》があるなら話は変わります。)

     

    ・《渦まく知識/Brainstorm》

    レガシーやヴィンテージではお馴染みの強力なカードですが、パウパーではフェッチランドのような容易にデッキをシャッフルする手段がなく、積み込んだ2枚をリフレッシュする手段が限られています。
    このデッキでは、《進化する未開地》と《灰のやせ地》によるシャッフル、《ボーラスの占い師》によるヒットの確定を行うことを狙いながら使用することが望ましいです。
    (《フェアリーの予見者》や《定業》でどかすことも可能ですが、動きとしては弱いため、最終手段くらいに捉えておいたほうが良いと思います。)

     

    ■調整候補や採用候補

     

    ・《削剥/Abrade》

    《稲妻》や《雪崩し》に比べて1マナ重いですが、トロンの強力なアドバンテージエンジンである《眷者の装飾品》や、ジェスカイ親和の各色アーティファクト土地、《マイアの処罰者》、白黒ペストの《静寂のタリスマン》等を破壊することができます。
    前述した各デッキの流行度合いで採用枚数が調整されていました。

     

    ・《フェアリーの決闘者/Faerie Duelist》

    メリット能力持ちの瞬速フェアリーです。
    単体だと弱そうに見えますが、パワー減少能力、瞬速が統治者のやり取りの中で有用であり、特にフェアリー同士の対戦ではタフネス2で相手のフェアリーを一方的に討ち取れることや、2マナでスプライトに打ち消されにくい点も強力でした。

     

    ・《火+氷/Fire+Ice》

    赤の割り振り可能な2点火力はフェアリーやエルフに対して有用であり、青のキャントリップ付きのタップ能力は統治者の維持やダメージレースのすれ違い、土地を寝かしてのテンポ取りなど、それぞれのモードで小回りが効く汎用性の高いカードです。
    特に赤の2点火力が強く使える相手であれば大きなリターンが見込めるカードであるため、採用されているデッキもちらほら見かけられました。

     

    ■おわりに

    今回《失墜》が禁止となり、紹介したデッキは組めなくなってしまいましたが、それでも僕は禁止されてよかったと心の底から思います。
    コモンのみのカードプールの中で、あのエンチャントはあまりにも強すぎました。
    これから新しい環境が始まります。今回の禁止だけで環境で議論されている問題がすべて解決したわけではありませんが、今まで《失墜》に虐げられていた沢山のデッキがまた活躍する機会を手に入れることができたのは非常に喜ばしく思います。
    また、新環境では統率者レジェンズで収録された他のカード達も注目されています。青や赤の4マナ統治者クリーチャーは以前より見る機会が増えるかもしれません。
    徐々にプレビューが公開されているカルドハイムも気になるところ。これからのPauperが楽しみです!

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