せっかくぱうぺあ杯に出たので、以前に動画&コラム化した白単兵士デッキについて、少し掘り下げをしていきます。
当初の動画と記事がこんなのです。
今回のぱうぺあ杯参加に際し少々アップデートし、3-1でした。
細かい調整内容については、この時のメタゲームや、ぱうぺあ杯特有のメタゲーム事情などもありつつ考えた部分があるので、ここでは割愛します。
当たり前ですが、構築段階でしっかり思想を固めておくと、プレイ中の判断間違いが減ることに加え、敗因分析やデッキ調整もしやすくなります。
構築もプレイングも幅が広いデッキでは更にその傾向が強まりますし、(自分を含め)そのあたりが浅いプレイヤーであれば尚更だと思います。
というわけでこの白単兵士の構築思想ですが、当時のコラムから変わっておらず、
(目標)
常に相手を受け手に回らせ、不利な選択を強い続ける
その結果として消耗戦で押し込んでライフを削り切る
(手段)
①ウィニーの強み、テンポに優れた横展開
②白の強み、1枚のカードから生物複数体を展開
③兵士部族の強み、各種強化手段で補助して殴り続ける
⇒常に横並びとサイズでライフに圧をかけながら、こちらが1枚から複数体展開したクリーチャーとブロックなり除去なりで1:1交換するか?ライフで受け止めるか?の嫌な二択を死ぬまで迫り続ける
というものになります。
「相手に選択権のあるカードは弱い」というカード評価の定説に対し、「だったら、相手に選択権を与えないようにしたら強いんじゃないか?」というアイデアがもとになった方針策定だったりします。
結局のところ「お得に素早く並べてパワー上げて殴る」なので、展開して来る相手にもノンクリーチャー寄りな相手にも裏目にならないのがこの思想の良い所です。
この思想を体現するためには、「相手を守勢に回らせるだけの展開速度、チャンプアタックにならないサイズ確保と、攻め続けるためのリソース確保」ことが必要になります。
これを前提に置いたうえで、このデッキの主要パーツを見ていきましょう。
マッチアップを問わず活躍する1マナ域。
しっかり1マナで展開できて、タフネス2でアタックしやすく、ドローできるので1:1交換させれば実質0:1交換。
このデッキのコンセプトを全身で体現する1枚です。
タフネス2なので《スレイベンの検査官》や《ボーラスの占い師》などのパワー1ブロッカーがいても問題なく殴りに参加できるのが地味に大きく、序盤からの攻勢に見た目以上に貢献してくれます。《骨断ちの矛槍》などを握っていれば、それらを踏み潰せるため尚更ですね。
攻めっ気強めの功労者。
フェアリーやエルフなどタフネス1が多い相手には、アドもテンポも雑に稼げて弱いわけがありません。
タフネス1が全然いないデッキ相手でも、このデッキなら
・「相手のブロックを相討ちブロックにさせる」うえで、1点追加で飛ばせるのが役に立つ(パワー4を止めに来た《グルマグのアンコウ》や、パワー2を止めに来た《ボーラスの占い師》などを倒せる)
・先制攻撃を付与する《宝石の手の報復者》と合わせて、相討ちどころか一方的に踏み潰せる範囲を広げることができる
と、盤面のぶつかり合いにおいて《チス=ゴリアの歯》に近い形で役に立ちます。
そのため、1ターン目に置いたこの兵士が終盤に勝負を分けた…なんてことも何度もあります。
基本は4枚、最低でも3枚は欲しいですね。
1マナ域の3体目。上2体と比べると若干ピーキーです。
「嫌な2択を強い続ける」というのがこのデッキのコンセプトですが、このカードは挑発によってその2択の選択権すらこちらが握ります。
適当にパワーを上げて面倒なブロッカーや飛行戦力と相討ちしても良し、《宝石の手の報復者》や《祖先の刃》と合わせて一方的に相手盤面を踏み荒らしても良し、マナに余裕があれば自身の軽減能力も使って相手の1体を実質的に無力化することもできます。
※後述しますがマナは余らないため、実際のところ軽減能力を使ったことは現状ありません。
とはいえ、あくまでブロックを操作できるだけの1/1ではあるので強化手段ありきの性能になり、相手によりますが「序盤は要らない」枠になることも多いです。
そのため採用枚数は難しく、メタゲーム次第で判断する必要があるのですが、1マナ域クリーチャーの総数はそれなりの枚数が必要があるので、他の1マナ域がこれに勝るかどうかですね。黒系コントロールデッキが多い状況であれば、布告に強く空から殴れる《宿命の旅人》なんか面白いです。
サイドボーディングでも彼に関しては悩むことが多く、いまだ正解を導けていません。
2/2/2警戒という普通に悪くないスペックを持ちつつ、もう1体の2/1を裏で用意してくれる強力な兵士。
裏面は完全に闇堕ちしていますが、それでもしっかり兵士扱いです。
シンプルゆえ逆に説明することがありませんが…2マナでパワー2を2体展開できて弱いわけがありません。
また、裏面はブロックできないという制限はあるのですが、このデッキは「殴り続け、相手を受け手に回らせる」ことがコンセプトなので、ここも大した痛手ではありません。
《忠実な聖戦士》同様、カード1枚+2マナから2体の兵士を展開できるので、このトークンと1:1交換を強いることができればアドバンテージなりテンポなり取ることができます。
ただ、《忠実な聖戦士》と違って同時に2体出るのは「全体除去への耐性が無い」ことになり、かつ強化手段が無い状態ではただの1/1が2体並ぶだけなので、使い所の見極めが見た目以上に難しいカードであり、相手次第で数枚サイドアウトすることもあります。
2~3ターン目に盤面展開の一環として適当に並べるのではなく、有効なタイミングで刺すような使い方を心掛けたいところです。
インスタントタイミングというのも結構嬉しく、
・布告除去に対応して唱えられる
・エンド時に唱えてライフ計算を狂わせる
・青系デッキ相手に、エンド時に唱えてマナを寝かせられる
・相手のアタック指定後に唱えて、相討ちブロックを仕掛けに行ける
・一度見せている相手であれば、2マナ構えるだけで全体除去や布告除去を渋らせられる
…と、数を上げればキリがありませんが、とにかく便利で動きの幅が広がると思ってもらえれば幸いです。
(デメリットは、相手の《払拭》が腐らなくなってしまうくらいです)
Pauperの白のいつもの。
《スレイベンの検査官》や《隔離されたステップ》でドローしても良し。
《アイケイシアの投槍兵》に槍を取りに帰らせても良し。
《祖先の刃》でトークンを増やしても良し。
裏返った《忠実な聖戦士》を表で出し直しても良し。
普段は《予言のプリズム》系統ばかり戻しているこのクリーチャーですが、このデッキでは多彩な選択肢で大暴れします。
2/3飛行という戦闘力もこのデッキの各強化手段と良い感じに噛み合っており、
《古参兵の剣鍛冶》《骨断ちの矛槍》があれば《コーの空漁師》対面を制し、
《宝石の手の報復者》《祖先の刃》があれば《昆虫の逸脱者》すら踏み潰します。
兵士に染める理由①。
このデッキのコンセプトである「ライフに圧をかけ続ける」「嫌な1:1交換を強いる」のどちらともパワー修正が噛み合っています。
また、これ自身が3/2と殴り生物として十分すぎる突破力をしているため、これ自身もしっかり殴りに参加していける、かつ消耗戦の結果これ1体だけが残っても十分なスペックで戦えるのが強みといえます。
ただ、どうしてもアドバンテージを取れない3マナクリーチャーなので、1~2マナの除去で潰されるとテンポを取られてしまいます。
そのため、除去を握っていそうな相手には、このデッキのコンセプト「相手に対応を強いる」をしっかり通してマナを寝かせてもらったところで出すことで、少なくともそのターン中はロードとして打点に貢献してもらうような運用をすることが多いです。
それか、これは狙って実現するのが難しいことも多いですが、事前に適当なクリーチャーに除去を打たせて使わせ切ったところで唱えられればなおベストです。
兵士に染める理由②。普通に唱えたことはありません。
3マナとそれなりに重い代わりに、「打ち消し不可で、1ドロー、+1/+1修正、先制攻撃付与」とかなり強烈な効果。
打ち消し不可なのが嬉しく、打ち消しの裏目を気にせずこのカード頼りのアタックを仕掛けることができます。
先制攻撃という部分が一般的にはネックで、ブロックしてもらえないと意味が無い…というのがこのカードの弱い所でもあるのですが、「ブロックを強いる」という運用をしっかり貫く限り、この弱点は払拭されます。
Pauper単色アグロのよくあるやつ。
トランプルを失い丸くなった《怨恨》といったところでしょうか。
パワー修正の重要性は《古参兵の剣鍛冶》で書いた通りですが、クリーチャー除去が効かない強化手段として場に残り付けられるのが強いです。
これがあるだけで1マナクリーチャーや兵士トークンがパワー3で殴りに行くことができ、並のブロッカーであれば相討ちに持ち込めます。
便利な装備品がついてきつつ、《コーの空漁師》でトークンを増やすこともできる2/2/2クリーチャー。
《皮剥ぎの鞘》によく似たこのカードがコモン落ちしたことで、白単兵士が一気に消耗戦に強くなりました。
装備品としてのスペックは、これだけだと1/1がタフネス3ブロッカーを超えられず若干パワー不足と言えますが、《古参兵の剣鍛冶》《宝石の手の報復者》を組み合わせてパワー+2まで持って行くのに一役買います。
また、タフネスが恒常的に1上がるというのは昨今飛び交う《息詰まる噴煙》《焦熱の連続砲撃》や、《コーの空漁師》を狙う《稲妻》《苦悶のねじれ》などに対してケアする動きを追加1マナだけで取れるということで、ここも普通に強い側面です。
土地は、各カードの採用バランスにより21~22枚。
単色アグロにしては多いと感じる方もいるかもしれませんが、「常に相手を受け手に回らせる」というこのデッキのコンセプト上、少なくとも土地3~4枚(できれば4枚)までは止めずに置き続けて足を止めずに展開する必要があるため、この枚数です。
また、各装備品の装備コストや《スレイベンの検査官》《宝石の手の報復者》によるドロー、《コーの空漁師》による置き直しなどがあるので、マナフラッドに陥ったこともほとんどありません。
失墜禁止記念杯では気の迷いで21枚にしてしまいましたが、やはり土地4枚までしっかり届かせたいので22枚が正解だと思います。
おわり!