Pauper神決定戦の思考録 -デッキ調整-

  • 2022.7.8
    デッキ紹介レポート
    OONS

    ■はじめに

    前回コラム(⇒リンク)の続きです。
    今回は、当日に向けて調整したデッキリストの紹介になります。

     

    なお前置きとしてですが、今回の記事も「神決定戦以前に考えた内容」になります。
    つまり、神決定戦での学びを踏まえた反省点や調整案などは、別途です。

     

    ■最終リスト

    文脈なんて要らねえ!という方もいるでしょう。
    まずは結論から。社会人として大切なことです。

     

    ・土地
    17:《沼/Swamp》
    1:《ボジューカの沼/Bojuka Bog》
    4:《魔女の小屋/Witch’s Cottage》

     

    ・クリーチャー
    4:《クォムバッジの魔女/Cuombajj Witches》
    3:《騒がしいネズミ/Chittering Rats》
    4:《ファイレクシアの憤怒鬼/Phyrexian Rager》
    2:《物騒なバトルレイジャー/Vicious Battlerager》
    2:《黒薔薇の棘/Thorn of the Black Rose》
    4:《アスフォデルの灰色商人/Gray Merchant of Asphodel》

     

    ・単体除去
    4:《汚涜/Defile》
    2:《喪心/Cast Down》
    2:《殺し/Snuff Out》
    4:《チェイナーの布告/Chainer’s Edict》

     

    ・全体除去
    2:《息詰まる噴煙/Suffocating Fumes》
    1:《墓所のネズミ/Crypt Rats》

     

    ・ドロー
    4:《血の署名/Sign in Blood》

     

    ・サイドボード
    4:《フェアリーの忌み者/Faerie Macabre》
    3:《神への債務/Debt to the Kami》
    3:《詰め込み期間/Cram Session》
    3:《押し寄せる砂/Choking Sands》
    2:《強迫/Duress》

     

    ■調整の流れ

    スタートは、PauperMTGチャンネルで使った「黒単イニシアチブ」の形でした。

     

    テンポに偏重し、常に押し付ける側に回ることでイニシアチブを奪わせずライフを削り切ることを目指した構築です。
    まず最初に、これをベースとして多少調整し、Tierデッキいくつかを相手にスパーリングをしました。

     

    ※ちなみにこのコラムに関して、「練習した」とか「相談した」とかが出たら全部さいとーさんです。黒単を(少なくとも最近は)自分よりも擦っていて、出場しないことが確定していて、かつ前回コラムで書いたような「レベルが違いすぎて話が伝わりきらない」ことがない丁度いい相手だと思ったので、全力でおんぶに抱っこさせてもらいました。

     

    そのうえで得た感触などをベースにリストを調整したうえで、さいとーさんの時間を丸一日貰い、いつも撮影している某所で色々なデッキ相手のスパーリングをさせて貰いました。

     

    その結果を受けて細かいリスト調整を行いつつ、考えられる全デッキへのサイドボーディングプランを固め(次回コラムはこれにする予定です)、さいとーさんに不安な点の相談やレビュー依頼をして、最終的な「全デッキに対する、サイド後を含めた60枚」を策定し、大会に臨みました。

     

    あまり単純なサイドボーディングではないところが多く、細かい調整部分を忘れないように、大会当日も試合の合間にずっとこのサイドボーディングメモを見ていたことを覚えています。

     

    ■統治者とイニシアチブの選択について

    インフレが進む令和のPauper環境に黒単が対抗するためには、このどちらかのアドバンテージエンジンは必要不可欠です。
    これに関して、「イニシアチブ偏重(イニシアチブ4統治者0)から、どうして両立型(イニシアチブ2統治者2)になったのか?」という部分の話です。

     

    これについては、最初のTierデッキ相手のスパーリングで概ね方針は決まりました。
    このスパーリングで出てきた課題が、「イニシアチブ軸では、グリクシス親和にどうやっても勝てない」というものでした。

     

    これは、単純に「親和は黒単側のイニシアチブ以上にテンポとアドバンテージを稼げるデッキ構造である」という点に加えて、以下の要因が重なった結果であると考えています。
    ・黒単vs親和において、統治者は統治者ドローで統治者を守れるが、イニシアチブは地下街探索によってイニシアチブをほぼ守れない
    ・《物騒なバトルレイジャー》は、1/5にせよ3/7にせよ、ブロック参加した後に《感電破》で焼かれるだけの生物でしかない
    ・1マナ全体除去持ち(※)相手には”テンポ良く強引に盤面を獲る”というイニシアチブの噛み合いが根本的に悪い

     

    ※黒単にはアーティファクト破壊が無いため、《クラーク族のシャーマン》が概ね《神の怒り》として機能します。それどころか《疫病風》として機能することも多々あります。

     

    ここに関して、これ以上の細かい説明は省きますが、ともかく結論として「無理」と判断しました。
    先手2Tで飛行クロックを出し、3Tでいい感じに除去して更地を作り、4Tで《殺し》を構えながら《物騒なバトルレイジャー》を叩きつけても、それでも無理。特殊な噛み合いなどもなく、シンプルな「親和の動き」をされるだけで簡単に捲られてしまう。

     

    イニシアチブという新兵器を得ようと、デッキのメインエンジン同士の押し付け合いでは親和に勝てない…となれば、親和に対しては先手後手を問わず「対応する側」に回って考える必要があると判断しました。
    具体的には、クリーチャーを(サイドの墓地対策絡めて)捌ききり、少ないクリーチャーでカリカリ殴って勝つようなイメージです。

     

    そうなるとイニシアチブよりも、「対応するためのカードを掘る」ことができる”統治者”と、同じ思想で《血の署名》が必要であると考えられました。

     

    …あれ?これ普通の統治者ベースの黒単信心では?
    なんだか、張り切って家出したはずなのになぜか実家に着いてしまった感じというか、少し気恥ずかしさを覚えたことを記憶しています。

     

    ※なお、このあたりの考え方自体は、必ずしもvs親和に限った話ではありません。黒単のデッキ構造上、こちらが「対応する側」に回るべき相手に対しては、イニシアチブによる盤面強化より統治者ドローの方が必要になる場面が多いと感じました。

     

    しかし、「じゃあ《黒薔薇の棘》に寄せ切って《物騒なバトルレイジャー》を抜くのか?」というと、そうはなりません。
    結局「普通にすごい強いカード」なので、以下のような見過ごせない長所に溢れています。
    ・ジェスカイやボロスなどの火力除去に強い
    ・ジェスカイのような「こちらが押し付けないといけない相手」への押し付け札として最強である
    ・アタックを通しやすく、統治者の奪い合いにおいても強い
    ・vs親和を除けば3/7が頼れる
    ・vs親和でも、《黒薔薇の棘》ほどではないにせよ有用ではある
    ・相手のイニシアチブへの強力な返し札になる
    ・アスフォデルやクォムバッジと、本体5点との噛み合いが良い
    ・ゲーム速度向上によりSEまで疲労を残しにくい

     

    そのあたりを鑑みて、《黒薔薇の棘》と《物騒なバトルレイジャー》を2枚ずつ採用する形としました。
    バランスの問題で計4枚に抑えることとなりましたが、思想的にはサイド含め計6枚まで増やしたかったくらいです。

     

    ■3マナ域について

    《騒がしいネズミ》《ファイレクシアの憤怒鬼》のバランスについて。
    誤差程度ですが、ここも普段の思想とは少し変えた部分です。普段は《騒がしいネズミ》の方が好きなので。

     

    考え方は統治者とイニシアチブの考え方と近くて、「押し付ける側に回るなら、相手に対応札を探させない《騒がしいネズミ》が強い」「対応する側に回るなら、対応札を探しに行ける《ファイレクシアの憤怒鬼》が強い」と考えています。
    そのうえで、普段は前者に寄せて《騒がしいネズミ》を優先採用するのですが、今回は統治者採用と同じ理由で、《ファイレクシアの憤怒鬼》を若干優先することとしました。

     

    ■《クォムバッジの魔女》の4枚採用について

    理由は以下。
    あまり迷わなかったし、結果論でも後悔はありません。

     

    ・重ね引きしても嬉しい場合が多い
    ・エルフ、ボロスラリー、モグワーツ…などなど、今回のメタ的に有用な相手がそれなりの数いると予想した
    ・フェアリーもメタのバランス関係なくどうせいる
    ・ケンクやオーラなど、《チェイナーの布告》を通したい相手の露払いに欲しい
    ・イニシアチブとアスフォデルでライフ詰め切るプランに直接寄与できる
    ・ファミリアや壁コンボなどのブロッカーをパワー2で突破したい時にも有用だったり、なんやかんや腐らない
    ・ティム効果以前の話として、イニシアチブや統治者のために2マナ生物(先手2ターン目の能動的な盤面アクション)の枚数はそれなりに欲しい
    ・《アスフォデルの灰色商人》の信心カウントの話でも同様

     

    ■単体除去について

    まず《汚涜》は、黒単を選択した理由の一つであり、《東屋のエルフ》《フェアリーの予見者》から、《アーラコクラの隠密》《ケンクのアーティフィサー》まで、しっかり対応できます。当然4枚。

     

    《チェイナーの布告》については、弱い時は弱いので3も少し考えましたが、
    ・イニシアチブと噛み合うこと(統治者と異なり地下街探索はマナ不要なので、フラッシュバックできる機会が多い)
    ・《命取りの論争》《使徒の祝福》《儚い存在》などに耐性があること
    ・対呪禁オーラのガードを下げたくなかったこと
    ・赤単ブリッツなどの1体目のクリーチャーへの返しとして確実であること
    ・《クォムバッジの魔女》4枚採用により裏目リスクが減っていること
    …などから、4枚に落ち着きました。まぁ普通に強いです。

     

    そして、インスタント単体除去は合計8枚ほど欲しかったので、《汚涜》4枚に《殺し》《喪心》を2枚ずつ足して、枚数を合わせました。
    現環境であれば「《喪心》は腐らず《殺し》は腐る」ことはそうそうなく(マッドネスバーン程度)、青相手の強さや根本的なカードパワーから《喪心》より優先して採用したいところですが、引き込みすぎると動きづらい(特に赤絡み相手)ことや、《殺し》を積みすぎると《アスフォデルの灰色商人》をサイドアウトすべき相手にもしづらくなること、マッドネスバーンには腐ること…などから2枚に抑えられ、浮いた除去枠を埋める形で《喪心》が入ってきた流れになります。

     

    ■全体除去について

    それなりにいると踏んだボロスラリーとエルフ(特にボロスラリーは単体除去12枚の価値が下がり厳しい)に対する明確な回答として、また《クォムバッジの魔女》4枚採用により除去範囲が広がるところもあり、全体除去の枠は数枚取ることになりました。

     

    まず、腐りにくさと取り回しの良さ、また《虹色の断片》耐性から、《息詰まる噴煙》を2枚採用しました。状況により、コンバットトリックとしての役割もそれなりに持つことができます。
    このカードは役回りとして《クォムバッジの魔女》と近く、役割としてカードを分ける際には《クォムバッジの魔女》6枚採用と近い意味合いにはなりますが、先に書いた通り《クォムバッジの魔女》と一緒に引き込んでも腐るどころか範囲が広がるので、特に「やり過ぎた」と感じてはいません。

     

    なお、この《息詰まる噴煙》に関しては、以前に4枚採用したリストが少し流行ったりしましたが、今のメタゲーム(フェアリー少なめ、URは更に少なめ)には適合しないと考えています。
    《息詰まる噴煙》自体を重ね引きすると弱く、逆に《息詰まる噴煙》を当てたい(フェアリー以外の)相手には一発で十分なことが多いからです。なんならフェアリーにも、今回の構成なら基本2枚で足りると判断しています。

     

    そして、《蜘蛛糸の鎧》《光糸の場》などに単体で耐性を持ちつつライフを詰める要員になれる《墓所のネズミ》《黒死病》のうち、単純に軽く、《魔女の小屋》で使いまわせる《墓所のネズミ》を1枚採用しました。
    ファミリアなど素早くライフを詰めたい相手のために、この枠はもっと多く取ってもよかったのですが、既に4マナ域を4枚取っていることもあり、デッキ全体のバランスを優先して1枚に落ち着いています。

     

    今回の、フェアデッキとしての完成系を目指した形としては、この結論で満足しています。
    ですが、この枠を複数枚積んで、「《物騒なバトルレイジャー》4枚採用でイニシアチブに寄せ切りつつ、地下街探索+《アスフォデルの灰色商人》+《クォムバッジの魔女》+《黒死病》《墓所のネズミ》でライフを詰める」コンセプトなんかも一つの形として強いことを確信してはいるので、それはそれでいずれ組んでみたいところです。

     

    ■《血の署名》枚数について

    自分は割と、「4枚が上限だから4枚」でストップする考え方は好きではなく、
    ・3枚(《血の署名》3枚)
    ・4枚(《血の署名》4枚)
    ・5枚(《血の署名》4枚、《夜の囁き》1枚)
    …のように、4枚で止まらず考えるべきだと考えています。

     

    少し表現を変えると、「もし同一カードの枚数上限が5枚になったとしても、そのカードの採用は4枚で止めるのか?」という考え方で、特に《血の署名》のようなカードに関しては「8枚まで採用していい中で、本当に4枚が最適解なのか」という考え方をすべきだと考えています。
    ※もちろん完全な互換ではなく、《血の署名》で勝てることも時折あるので、このあたりの話は難しいのですが。

     

    過去に青単を組んでいた際に、1マナ生物の13枚目以降として《空飛ぶ男》《西風のスプライト》を試して狂人呼ばわりされていました(試した結果、流石に弱いという結論になりました)が、そのころからこの考え方自体は変わっていません。

     

    …なのですが、今回の構築を何度も調整しながら回してみた中で、盤面影響のテンポとアドバンテージ取得のバランス感において、4枚がちょうどいいなという結論に至りました。

     

    ■土地枚数について

    まずは合計枚数として、22枚です。

     

    21枚にするとか、22枚にしつつサイド後21枚のプランを組み込むとか、そのあたりも考えはしました…が、《血の署名》に依存せずともそれなりの期待値で土地4まで置き続けられる22枚が常に必要であると、最終的に判断しました。
    《血の署名》は序盤の動きとしてあまり強くなく、できれば盤面に触れる他アクションを優先して動きたいためです。

     

    あとは、細かいバランスについて。
    まず、《ボジューカの沼》を含む「沼でない土地」は、土地22なら1枚が上限であると考えています。タップイン自体ももちろん痛いのですが、沼カウントの低下がその5倍痛く、できれば初手に持ちたくないためです。《やせた原野》が入っていないのもそのあたりが理由です。

     

    《汚涜》は、必ずしも序盤に打たなくてもいいのでそこまで困らないこともあるのですが、自身のタップインに加えて《魔女の小屋》のアンタップインを遅らせるので、「マナカーブ通りに強いアクションを叩きつけ続ける」という黒単の動きを阻害してきます。4ターン目の《魔女の小屋》がタップインってどういうこと?

     

    そのため、なんなら0枚も大いに視野でしたが、他の土地を置き続けられればTierの様々なデッキに対して強い動きを狙えることから、1枚だけ採用することとなりました。

     

    最後は《魔女の小屋》ですが、4マナ域や《クォムバッジの魔女》であったり、サイドボードの《フェアリーの忌み者》であったり、欲しいところを実質+4枚できて強いので、4枚フル採用しています。

     

    ■サイドボードについて

    黒単は青系デッキのように序盤から多くの枚数を掘り下げられる構造でなく、かつ”サイドインしたカードが序盤から欲しい”マッチアップがそれなりにあるデッキなので、「無いと勝てないカードやゲームプランを決めるカードは、なるべく初手にあってほしい」という基本理念を持った方がいいと考えています。
    そのため、ふわっと1~2枚を散りばめるような構築ではなく、3~4枚を中心とした構築になっています。
    ※同じ役割のカードを散らすならアリの判定です。

     

    まず目を引くのは、墓地対策枠でしょうか。

    親和・ファミリア・ジェスカイが多いと踏んだこと、それらの相手に3~4ターン以内に確実に1枚握りたいこと、でもできるだけマリガンしたくない(マリガンの枚数差を覆せるほど刺さるカードではない)ことから、墓地対策は多めに4枚取っています。

     

    その中で、以下を理由に、4枠全てを《フェアリーの忌み者》に寄せ切りました。
    ・軽くてメインの動きを阻害しないこと
    ・後引きでも打ち消しに耐性があること
    ・《魔女の小屋》で使い回せること
    ・サイクリングストームは少ないと判断したこと

     

    親和・ファミリア・ジェスカイ全てに言えるのですが、これらのデッキに墓地対策を有効に機能させるためには「墓地活用を強いる」ことが必要になります。
    切ないことに、これらのデッキは墓地と何ら関係のない部分だけでも黒単に勝ちうる力があるため、墓地対策のためにマナを使ったり立てたりして基本のアクションが遅れてしまうと、「墓地を使わなくても十分勝てる」状況に陥ってしまう可能性が高くなります。
    つまり、墓地関係ないやりとりを制した上で墓地活用を阻害せねばならず、0マナであることはその点で有用なはず…と考えています。いました。
    (神決定戦での学びを踏まえ、このあたりはちょっと書き足したいところもあるのですが…それは別途…!)

     

    また、前回コラムに書いた「駆け引きをなるべく控える」という考え方も、ここに影響しています。
    《虚無の呪文爆弾》などと違って自分にだけ情報が見えており、マナを立てる必要も特段無いので、駆け引きによる裏目などが少ないのが良い感じです。

     

    なお、巻き込まれる形で各種フェアリーへの相性が少し向上していますが、ここは結果論であり、採用理由ではありません。

     

    次に、《神への債務》。

    親和やボロスの《間に合わせの砲弾》が厳しく、これ1枚で簡単に負けてしまうことから、エンチャントに対処できるカードはマストと判断しました。その中で、選択肢がほぼこれしか無いのでこれを選んだ次第です。
    一応、《大群への給餌》という選択肢もあるにはあり、特にボロス相手なら《未達への旅》に邪魔されず《間に合わせの砲弾》を狙えるのですが、呪禁オーラや白単英雄的相手で当然強かったり、親和相手にクリーチャーモードで唱える時のバリューが全然違ったり、インスタント除去をサイドインしたい状況もそれなりに見込まれたり、そのあたり踏まえると《神への債務》に常々軍配が上がります。

     

    枚数としては、親和やボロスの《間に合わせの砲弾》採用枚数より上を取りたい(確実に対処したいため)こと、親和相手に初手に握れると《命取りの論争》を構えさせる前にクリーチャー追放を狙えること、それらを理由に3枚としています。

     

    そして《押し寄せる砂》。

    墓地対策のところで書いた通り、いくら墓地利用を阻害したところで、墓地関係なく負けてしまっては元も子もありません。

     

    そのうえで、特にファミリアに対しては、過去の経験から「墓地利用を全部弾いたとしても、それだけでは勝てない」と判断しています。ならば!ということで足した枠です。
    トロンはほぼ居ないのが気持ち残念ですが、流行りのポンザにもそれなりに効きますし、マッドネスバーンやボロスシンセサイザーなど堅めのデッキ相手にもそれなりにそれなりです。
    それなりに序盤に打つ必要があり、重ね引きしてもそうそう困らないので、3枚です。元々4枚でしたが、どうにか15枚に抑えるために我慢しました。

     

    最後に《詰め込み期間》3と《強迫》2。主にバーン対策を意識した枠です。

    相手がクリーチャー軸のキープをしてくれれば、除去からの《アスフォデルの灰色商人》が間に合う場合もありますが、スペル中心に引き込まれると普通に間に合わず負けるためです。マッドネスバーン相手ならそれなりに目はあるものの、赤単バーンだとかなり厳しくなります。

     

    《詰め込み期間》にした理由は、単純に裏目が無いこと、最高速度のブン回りにもキャストが間に合う速度であることに加えて、履修により「5ターン目に土地5枚+《アスフォデルの灰色商人》」という目標への到達に貢献できることが挙げられます。
    この枠は《予想外の牙》が一般的であり、決まればイージーウィンを狙えますが、メインが厳しくサイド後2戦をしっかり制する必要があることから、この枠には安定を求めました。履修があることで、少ないですが「アド損してでもデッキを掘り進めたい」場合のサイドインもできますし。

     

    しかし、コンボデッキや遅い青系デッキにまんべんなく使える《強迫》も欲しかったので、多少役割の被る《詰め込み期間》は3枚に抑えつつ、2枚採用しています。
    個人的には黒単の《強迫》があまり好きでなく、できればこれを使わない構築を目指したかったのですが、メタゲーム的な需要であったり、各サイドカードをバックアップする(実質的な各カードの量増し)役割を考え、このような形に落ち着きました。

     

    ■採用を見送ったカードについて

    《堕落/Corrupt》
    ファミリア相手のフィニッシャー候補。
    次回コラムで触れますが、今回はファミリア相手の《アスフォデルの灰色商人》プランを諦めたこともあり、同じ思想で外れました。

     

    《発掘/Unearth》
    安定を求めました。それだけ。

     

    《墓の刈り取り/Reaping the Graves》
    フェアリーのような青系よりファミリアやジェスカイのような青系が多いと判断したことから、有用な相手が少ないと判断しました。

     

    《グルマグのアンコウ/Gurmag Angler》
    彼が活躍できるフェアな環境ではないと判断しました。

     

    《見栄え損ない/Disfigure》
    多少悩みましたが、メタ的に強く使えない相手が多いと判断しました。

     

    《君主の一噛み/Sovereign’s Bite》
    履修の有無。

     

    《ゲスの評決/Geth’s Verdict》
    特にイニシアチブに寄せたい場合ですが、《チェイナーの布告》の枠を1~2枚こちらに譲るのも面白いと思います。1点ルーズ以上に、インスタントである(4マナ域を唱える前の相手エンド時に打てる)点が重要です。
    今回は、早期からのマウント確保よりもロングゲームでのアドバンテージを重視したかったことから、このカードは取っていません。

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