OONSです。
マジックをやっていると、こんな願望が湧いてきませんか?
そのカード何?って、言わせた~い!
わからん殺しを、キメた~い!
甘えでもなく、下位互換でもなく、勝利に向けた明確な理由付けをもって、誰も知らないカードを採用する。
多くのマジックプレイヤーが一度は抱いたことのある願望でありながら、やってみるとイメージ以上に難しく、志半ばに挫折することも多いと思います。
また、これは自分の主観ですが、特にPauperはそれが顕著だと考えています。
というのも、コモンの性質上シンプルなカードが多いが故に、デッキコンセプトになったり強力なシナジーを構成したりする特別な効果を持ったカード自体が少なく、面白いオモチャを発掘すること自体の難易度が高いんですよね。
そして、逆にシンプルだからこそ、有名デッキで使われるようなカード達のカードパワーが明確に高いというのも大きな壁になりえます。
面白いシナジーを見つけたように見えても、実質的に既存の何かの下位互換になってしまったり、しっかり太い勝ち筋を持たないとシンプルなカードパワーに叩き潰されてしまったり。
少なくとも自分は、数えきれない挫折を積み重ねて来ました。
さて、そんな「他で替えの効かない、誰も知らないカードの採用」という困難な要件を、お手軽かつ沢山満たす方法、私は今回見つけてしまいました。
はい、部族ですね!(強引)
「部族シナジー」という明確な独自性を持ち、かつその部族デッキでないと入らないマイナーカードを合理的に沢山投入できます。
また、ついでながら、部族で揃えるとイラストやフレーバーにも統一感が出ることがあります。それらが並んだ盤面の満足感が高いのも魅力と言えましょう。
そんなわけで今回は、Pauperの部族シナジーについて、マイナー部族にターゲットを寄せ、面白いものをピックアップ紹介していこうと思います。
フェアリーやらエルフやら有名どころは無限に落ちてるので、自分で調べましょう。甘えるな。
タップ能力で簡単にカードアドバンテージ&ボードアドバンテージを得られる、それだけ聞くとコモンにあるまじき能力を持つ部族です。
それぞれ、大まかに以下のような特徴があります。
<傭兵>
・黒
・自分より小さい生物を、軽い起動コストでサーチ
・コモンでプレイアブルな範囲だと、基本バニラ
<レベル>
・白
・自分より大きい生物を、重い起動コストでサーチ
・ライフゲインや呪禁に効く除去など、多少ゲームに干渉できる能力がある
ざっくり言えば、傭兵は単体スペックが低い代わりにテンポが良く、押し付けデッキ向き。レベルはその逆。といったところですね。
どちらにせよ、割と小粒揃いなことから全体マイナス修正や全体火力に弱く、それらを間に合わせない超速勝利プランがあるわけでもないので、青を触って打ち消しを積み、タップ能力と一緒に構える動きが基本になるように思います。
《空からの援助》がキーカード。
この《空からの援助》が青、鳥といえば白、なので青白で組む形が基本になります。
《空からの援助》は、はたから見ると弱くなった《遠くの旋律》にも見えますが、これは相手盤面も参照するので、《アメーバの変わり身》《外身の交換》《鴉変化》などで相手のパーマネントを鳥にしてカウントを稼ぐこともできるのが差別化ポイントです。
また、《翼ある言葉》《嵐景学院の使い魔》という細かい噛み合いカードがあったり、《戦隊の鷹》《金切るときの声》はカード1枚から鳥を4体展開できたり、地味ながらスペック高めな部族なのではないかと思います。
自身もしくは他の同盟者が場に出た時に誘発する能力を持っており、並べるとどんどん誘発していきます。
特に《オンドゥの僧侶》《ハリマーの採掘者》は誘発型能力の内容も同盟者の数を参照するので、横並びさえできれば割とおかしな強さを発揮します。
また、《変容の軍勢》や《儚い存在》との噛み合いが良く、同盟者の実装当初よりも地味に強化されていると言えるでしょう。
アイコニックマスターズでコモン落ちした《龍詞の咆哮》《龍王の召使い》がドラゴンを参照します。
どちらもアドバンテージを取れるわけではなく、攻めの遂行速度を上げるためのカードなので、部族の強さとしては、むしろこれらから繋げるドラゴン本体の遂行速度が問われるところです。
具体的なドラゴン候補としては、《多欲なドラゴン》《稲妻の金切り魔》《焼炉の仔》《ウギンの末裔》あたりになると思うので、これらが伸び伸びと殴りに行けそうな環境かどうか?が、このデッキを組む上での基準になりそうです。
なお、《多欲なドラゴン》と噛み合う面白いドラゴンに《疲れ切った売剣》もいますが、飛行が無いためドラゴンデッキの攻め手として怪しく、こちらの採用は厳しそうです。
ちなみに、ドラゴン参照コモンといえば《ドラゴンの接近》もありますが、出す先のカードを考えるとパフォーマンスが苦労に見合わないので、今はまだ微妙かなと思います。
《煙束ね》によるマナ加速からのファッティ展開が魅力。
とはいえ、マナ加速が4枚だけだと不安定、かつどうせ多色にするので、《浄化の野火》エンジンなんかを足して2マナ域のマナ加速を8枚体制にしてしまうのが安定するように思います。
コモンの強いエレメンタルは《熟考漂い》《渡る魂》など想起持ちが中心なので、《蘇生の天使》《儚い存在》などを活用し、アンフェアにアドバンテージを荒稼ぎしましょう。《断層削り》も好き。
《木立を歩むもの》にそれらを使って頭の悪い戦線を構築し、《茂み壊し》でトランプルを付与して気持ちよく突き抜けていくというのも面白そうです。
動画やコラムでは《宝石の手の報復者》《古参兵の剣鍛冶》《古参兵の鎧鍛冶》しか出していませんが、《軍用隼》《共同の一撃》《最前線の策士》など面白い兵士シナジーカードはまだまだあります。
シナジーの関係ない白単ウィニーでも採用される優秀な兵士クリーチャーが多数いるので、各個の基本スペックが高く、白単ウィニーを少し改造するだけで簡単に組めるのも魅力の一つです。
《毅然たる一撃》という面白カードを活用し、戦士+装備品デッキとして遊べそうです。《グレートアックス》、つけちゃいましょう。
上記コンセプトとの噛み合いを前提とするなら、《炎のチャンピオン》《道の探究者》あたりが良さそうですね。
他にも、《ドロモカの伝令》《オーロラの勇者》《戦場での猛進》という殴り合いに強い部族シナジーカードもあり、コンバットが重要な相手では輝けそうです。
また、戦士はパーティーの4部族に属しているため、《マラキールの血僧侶》《献身的な電術師》などの軽めなパーティーカードを採用してみるのも面白いかもしれません。
フェアリー系デッキを中心に《深き刻の忍者》はよく見かけますが、忍者をメインコンセプトに据えたデッキもごく稀に見かけます。
忍者を揃えて、何のシナジーがあるのか?といえば、《煙の覆い》です。直接的にアドバンテージを得られるわけではありませんが、実質的に「忍者の1体に飛行付与と+1/+1修正」という紋章を得るのに近い働きを見せ、忍者のサボタージュ能力を通して関節的にアドバンテージに貢献します。
組むなら青単か青黒になりそうですが、どちらにせよ《変わり身ののけ者》《這い寄る刃》《フェアリーの予見者》など忍術の種になる1マナ域には困りません。
それか、忍者の展開速度を最優先するなら《羽ばたき飛行機械》、逆に忍術によるアドバンテージを優先するなら《海門の神官》《粗石の魔道士》なんかもアリかもしれませんね。
個人的には、忍者がもたらすアドバンテージを使って後出しで1:1交換していくための優秀な除去を採用できる青黒が、理屈としては合っているのかなと思います。
《焦熱の連続砲撃》《溺死者の行進》が強力。
うまく組めれば、「《焦熱の連続砲撃》耐性が最も高く、かつ自分でメインから採用できるためアグロ相手にやたら強いアグロデッキ」という唯一無二の価値を得て、活躍できるかもしれません。
強力な海賊クリーチャーが数枚刷られれば、一気に評価が跳ね上がる部族だと思います。
神河、イニストラード、ストリクスヘイヴンなど、様々なブロックでフィーチャーされてきた部族。コモンには派手なロードこそいませんが、ここまで有名な部族ともなれば地味なシナジーカードは多々あります。
まず一番わかりやすいのが、神河の転生・スピリットクラフト。《樹海の古松》《希望の盗人》がこれらを兼ね備えていますが、簡単な誘発条件で地味ながらシンプルに強いシステムクリーチャーとなり得ます。もちろん秘儀呪文と合わせて使ってもいいでしょう。
ビートダウン系では、最近追加された《難破船の選別者》《血の時代の将軍》が軽くシナジーあって良い感じです…が、コモン的にはそこまでアグロアグロできる部族でもないので、噛み合いは微妙なところ。
ただ、《難破船の選別者》はビートダウン対面のブロッカーとしても強く、転生とも合うので、雑に突っ込んでもいい気はします。
そして、強力なフィニッシャーになりうる《貪る強欲》。
アドバンテージは全力で失う《エイトグ》《投げ飛ばし》に近い動きですが、ダメージ軽減や《青霊破》を受け付けず、またスピリット部族自体が空からライフを削りに行けてフィニッシュに持ち込みやすい噛み合いが強みです。《三つぞろいの霊魂》などと組み合わせていきましょう。
単体で優秀な《吸血鬼の裂断者》《グール・ドラズの吸血鬼》が元々いるところに加え、《ステンシアの晩餐》《吸血鬼の怒り》《牙の天稟》によるアグロサポートが魅力。
また、《ヴォルダーレンの美食家》《傲慢な新生子》がいるので、《血狂いの吸血鬼》を絡めてマッドネス軸のアグロで考えるのも面白そうです。
《ワイアウッドの野人》によるアドバンテージ力が魅力。《空からの援助》などと同様に相手のビースト着地も参照するため、《外身の交換》も活用できます。
ただ、「除去されなければいっぱい引いちゃうぞ」というだけだと青白ブリンク系デッキの実質的な下位互換に成り下がりがち。
しかしビーストは、《樹上の草食獣》《渡る大角》などがいるため、土地を伸ばすことに長けた部族であると言えます。そのあたりを活かし、重くて大きいビーストや《ワイアウッドの野人》などの脅威を毎ターン展開して対処を迫り続け、押し付け切って勝つという考え方も面白いかもしれません。
このコラムを書くために各部族のカードを調べたのですが、情報量が当初の想定の倍くらいになってしまい、結構な文章量になってしまいました。
良い感じにカロリーが消費で来たので、最近気になっているお腹周りも改善されたのではないかと思います。
「俺の大好きなこの部族が乗っていないじゃないか!」という方は、「あっ、この部族はメジャーなのか!」とポジティブに捉えていただければ幸いです。
なお、ずべらはメジャーだと思っています。
おわり!