Pauperやってて遭遇するかもしれない、細かいルーリングについて

  • 2021.5.22
    その他
    OONS

    はじめに

    OONSです。

    今回の記事は、「Pauperやってて遭遇するかもしれない、細かいルーリングについて」です。

     

    大会で何かルールがわからずトラブった際にはジャッジの方に解決してもらえばよいのですが、そもそも細かいルーリングを知っているか否かで「やろうと思えばできること」を「ルール的にできないはず」と勘違いして負けてしまったり、対戦相手の方がルールを都合よく勘違いしているのにお互い気付かずそのまま負けてしまったり、なんてこともあり得ます。
    実際、自分は初心者の頃に何度も後で「騙された!」となったことがありました。

     

    そんなわけでPauper参入したての初心者向けのものから、あまり知られていないものまで、思いつく範囲で書いていこうと思います。

     

    今回は、以下について記載していきます。
    ・ピンポイントに間違えがちな能力解説(忍術 / 親和 / 変異 / 予顕 / サイクリング誘発 / 《クォムバッジの魔女》 / 《実例指導》)
    ・マナ総量
    ・戦闘フェイズ
    ・誘発型能力
    ・領域変更誘発
    ・優先権
    ・Xの扱い
    ・その他
    ・カードがPauperリーガルかどうかの正しい確認手順

     

    <追加の記事について>
    いくつかご要望をいただき、ルールの種類を軸に、いくつか記事を追加しております。

     

    ・呪禁/被覆
    ・プロテクション
    については、第ニ弾の記事へどうぞ。

     

    ・if節ルール
    ・遅延誘発型能力
    ・状況起因処理
    ・マナ能力
    については、第三弾の記事へどうぞ。

     

    ・種類別
    については、第四弾の記事へどうぞ。

     

    間違っているところや、これも載せた方がよくない?というところなどあれば、どしどしご指摘ください。

     

    ■忍術

     

    ・起動できるタイミングは「ブロッククリーチャー指定後~戦闘終了ステップ」。
     ⇒単純に「ブロックされないことが決まった直後に忍術起動」だけでなく、
      以下の動きも可能。
      ・ダメージ解決後の忍術(忍者より高いパワーで大きいダメージを通したい場合など)
      ・先制攻撃ダメージ解決後の忍術
      ・攻撃クリーチャーへの除去にスタックしての忍術で除去回避
      ・忍術で着地した忍者への除去に対応して、手札の2枚目の忍者で除去回避

     

    ・あくまで起動型能力なので、解決するまで忍者がいる領域は手札。そのため、1体の忍者で忍術を複数回スタックに積む(コスト支払いは起動の時点で必要なので、戻すクリーチャーは別のものを指定する必要がある)ことができる。
     ⇒複数体の攻撃クリーチャーを手札に戻すことができる。CIPの再利用や全体除去の回避などに。

     

    ・忍術起動にスタックしてのハンデスで、戦場に出る前に落とすことができる。
    ※とはいえ、インスタントタイミングのピーピングハンデスはPauperで使われていなく、《騒がしいネズミ》+《儚い存在》など選択権がないものでは忍術コストで戻したカードを身代わりにできてしまう。強いて言えば《催眠の悪鬼》+《儚い存在》くらいか。

     

    ■親和

     

    ・《彩色の星》《物読み》を使う際、呪文を唱える際の処理順序が重要になる。
     ザックリ言うと処理順序は「”唱えます”と宣言→対象など宣言→マナコスト決定→マナコスト支払い」で、《彩色の星》を含めた「マナ能力」はマナコスト支払い時に使えるものなので、「《彩色の星》を親和カウントに含めてマナコストを軽減してから、《彩色の星》から青マナ出してマナコストを支払う」ことができる。

     

    ■変異

     

    ・イカサマ防止のため、変異クリーチャーが戦場を離れる際、もしくはゲーム終了までそのままだった場合、表面を相手に見せる必要がある。

     

    ・変異コストで表になる処理はスタックに乗らないので、表になることに対応して除去などはできない。

     

    ■予顕

     

    ・予顕するのは自分のターン中ならいつでもいいので、終了ステップに統治者ドローで手札が8枚になった際に、終了ステップ中に予顕して手札を減らすことで、クリンナップステップに入ってディスカードさせられるのを防ぐことができる。

     

    ・予顕して結局ゲーム終了まで唱えなかった場合、表面を相手に見せる必要がある。変異と同じく、イカサマ防止のための措置。

     

    ■サイクリング誘発

     

    ・《クローサの大牙獣》などサイクリング誘発の能力は、「サイクリングの解決時に誘発」するのではなく「サイクリングを起動してスタックに乗せる際に誘発」するので、誘発効果を先に解決してからサイクリングのドローを行う。

     

    ■マナ総量(元「点数で見たマナコスト」)

     

    ・フラッシュバックなど代替コストで唱えた呪文であっても、マナ総量は元々のそのカードのマナコストを参照する。
    (例)
    《チェイナーの布告》の7マナフラッシュバックも、《呪文づまりのスプライト》X=2で打ち消すことができる。

     

    ・X呪文は、スタック上では唱える際に決定したマナコストを参照し、スタック外ではX=0として扱う。
    (例)
    X=1以上の《とどろく雷鳴》は、《呪文づまりのスプライト》X=2では打ち消せない。

     

    ・分割カードは、スタック上では唱えている側のマナ総量を参照、スタック外では両方の合計を参照する。
    (例)
    《暴力的な突発》の続唱効果で《火+氷》が捲れた場合、火と氷のそれぞれは3マナ未満であるものの、《火+氷》のマナ総量は2+2=4として扱うため唱えられない。

     

    ・両面カードは、裏面で場にいても表面のマナ総量を参照する。
    (例)
    《昆虫の逸脱者》を《大群への給餌》で破壊する場合、《昆虫の逸脱者》のカード右上にはマナコストの記載がないが、マナ総量は表面の《秘密を掘り下げる者》を参照し1として扱うため、1点のライフを失う。

     

    ■《クォムバッジの魔女》

     

    ・1点を飛ばす対象を、まず起動したプレイヤーが選び、その後に対戦相手が選んで、その後に解決。
     「①自分が選択→②解決→③相手が選択→④解決」ではない。

     

    ・1点を飛ばす先を選べるのは、1点を飛ばされた被害者ではなく、あくまで対象の対戦相手1人。
    ※普通の構築では基本的に関係ないが、多人数戦で重要になる。

     

    ■《実例指導》

     

    ・呪文のコピーは、唱え直すわけではなく、スタックに積まれた呪文をコピーするだけ。
    ⇒モードの選択、Xコストの決定、キッカー有無の決定など、唱える際に行う処理の再実行は伴わない。
     あくまで《実例指導》の「あなたはそのコピーの新しい対象を選んでもよい。」という効果によって対象の再選択を行えるというだけなので注意。

    (例)
    アーティファクトを対象とした《自然の詠唱》を《実例指導》でコピーした場合はコピーでエンチャントを対象に取れる。
    アーティファクトを対象とした《自然への回帰》を《実例指導》でコピーした場合はアーティファクトしか対象に取れない。

     

    ■全般(戦闘フェイズについて)

     

    ・戦闘フェイズの正確な処理は以下。

     

    ①戦闘開始ステップ
     ⇒(一部の多人数戦を除き)特にターン起因処理は無い。
      誘発があればスタックに乗せてから、優先権が発生。
    ②攻撃クリーチャー指定ステップ
     ⇒まず、攻撃クリーチャーを指定。
      誘発があればスタックに乗せてから、優先権が発生。
      ※「攻撃するたび」系の能力はここで誘発する。
      ※攻撃クリーチャー無しの場合は、戦闘終了ステップに移行。
    ③ブロック・クリーチャー指定ステップ
     ⇒まず、ブロッククリーチャーを指定し、1対複数のところがあればダメージ割り振り順を決定。
      誘発があればスタックに乗せてから、優先権が発生。
      ※「ブロックするたび」系の能力はここで誘発する。
    ④戦闘ダメージ・ステップ
     ⇒まず、ダメージ割り振りの内容を宣言してからダメージを解決。
      誘発があればスタックに乗せてから、優先権が発生。
      ※ダメージ割り振り内容を決定する際、先にダメージを与える方に
       致死ダメージを与えてから、次にダメージを与える方に進む必要がある。
      ※先制攻撃や二段攻撃持ちがいる場合、第2戦闘ダメージ・ステップに移行。
    ⑤戦闘終了ステップ
     ⇒特にターン起因処理は無い。
      誘発があればスタックに乗せてから、優先権が発生。
      このステップの完了時に、各クリーチャーが戦闘から取り除かれる。

     

    ・「戦闘入ります」という宣言は、「戦闘開始ステップに移行する」を指す。
    ※昔は「攻撃クリーチャー指定ステップに移行する」という共通認識があったらしいものの、今は「マジック:ザ・ギャザリング イベント規定」の「4.2 イベントでの手順の省略」でこのように明文化されている。

     

    上記戦闘の流れを実際のプレイ例に落とし込むと、以下のようになる。

     

    ・防御側が《万の眠り》や《錬金術師の薬瓶》で相手のアタック自体を阻止したい場合、戦闘開始ステップまでに実行。
     攻撃側が機体に搭乗したい場合なども同様。(戦闘前メインフェイズに行う必要はない)

     

    ・攻撃側が《万の眠り》や《錬金術師の薬瓶》で相手のブロック自体を阻止したい場合、攻撃クリーチャー指定ステップまでに実行。
     防御側が《呪文づまりのスプライト》や《クウィリーオン・レインジャー》でブロッカーを増やしたい場合なども同様。

     

    ・ダメージが通る前に攻撃クリーチャーを除去したい場合は、ブロック・クリーチャー指定ステップまでに実行。
     逆に攻撃側がダメージ解決前に《ティムールの激闘》を撃ちたい場合なども同様。

     

    ・先制攻撃や二段攻撃持ちがいる場合、最初の戦闘ダメージステップの時点でダメージ誘発型能力などの処理を行う。
     また、第2戦闘ダメージ・ステップに入る前に、呪文や能力を使う余地がある。

     

    ・《ファイレクシアの憤怒鬼》でアタックした際に、《ボーラスの占い師》2体がブロックに来たとする。
     この際、《エヴィンカーの正義》を持っていたとして、「まず戦闘ダメージを1点ずつを割り振ってから、戦闘後メインフェイズで《エヴィンカーの正義》を唱えて2点ずつダメージを与えて両方倒す」というのはできない。

     

    ■全般(誘発型能力について)

     

    ・誘発条件に書かれたイベントが起こるたびに、1回誘発する。
     ※この時点では、誘発型能力はスタックに置かれない。

     

    ・誘発した能力は、次にプレイヤーが優先権を得る際、状況起因処理をチェックした後にスタックに置かれる。

     

    ・誘発型能力を置く際に複数の誘発型能力が誘発していた場合、アクティブプレイヤー⇒非アクティブプレイヤーの順で、自分のコントロールする誘発型能力を好きな順でスタックに置く。
     ⇒必ずしも誘発した順番どおりにスタックに置かれるわけではない。
    (例)
    《渦巻く砂嵐》によって、お互いの《若き狼》が死亡した。
    この場合、《渦巻く砂嵐》完了後、アクティブプレイヤーの《若き狼》の不死能力から先にスタックに乗せる(=後に解決される)。
    そのため、非アクティブプレイヤーの《若き狼》の不死能力の解決後に《大祖始の遺産》を起動することで、
    アクティブプレイヤーの《若き狼》の不死能力だけ阻害することができる。逆はできない。

     

    ・「~してもよい。」と書かれた誘発型能力であれば、その選択に関係なくスタックには置き、解決時になにもしない事を選ぶ。
     ※「~してもよい。そうした場合~~」「~しない限り、~~する」としてコストを要求する誘発型能力も、実際にコストを支払うかどうかは解決時に決める。
    (例)
    《仮面の蛮人》で置物を追放する際、墓地からのクリーチャー追放はコストではなく解決時。
    そのため、誘発型能力にスタックして墓地追放などで妨害することができる。《きらめく鷹》なども同様。

     

    ■全般(領域変更誘発について)

     

     

    着地時誘発や死亡時誘発について。

     

    ・基本的に、イベントが誘発条件を満たすかどうかは、イベント直後の状態を参照する。
    (例)
    《魂の管理人》と《記憶の壁》に対して《幽霊のゆらめき》を打った場合、《記憶の壁》が出る以前から
    《魂の管理人》が立っていたわけではないが、このルールにより《魂の管理人》は誘発する。

     

    ・種類が多いため全ては記載しないが、「死亡誘発など、”〜〜を離れた時”系の効果」「《ゴルガリの茶鱗》など
     ”公開領域から非公開領域に移動した時”系の効果」は、過去の状態を参照する。
    (例①)
    《風切るイグアナール》と他のクリーチャーが同時に死亡した場合、他のクリーチャーの分を含めてダメージ能力は誘発する。
    (例②)
    《反逆の行動》などでコントロールを奪ったクリーチャーは死亡時にオーナーの墓地に行くが、このクリーチャーの死亡時誘発効果のコントローラは、あくまで奪った側。

     

    ■全般(優先権について)

     

    「対応ありますか?(=優先権パスします)」系のやりとりはトラブルになりがちなので、
    このあたりはしっかりと。

     

    ・各フェイズやステップのターン起因処理の後に、アクティブプレイヤーが優先権を得る。
     ※アンタップステップとクリンナップステップは、これによる優先権発生は無し。
    (例)
    ブロック指定後に攻撃側が防御側に「対応ありますか?(=優先権パスします)」と聞いたら、
    防御側にも対応が無かった場合、《ティムールの激闘》なり《巨森の蔦》なりをダメージ解決前に
    打つことはもうできない。(逆に防御側は、攻撃側に優先権をパスされてからの行動になるので、
    攻撃側のアクションの有無を聞いてから行動を起こす流れで問題ない)

     

    ・優先権を持ったプレイヤーが呪文や能力などをスタックに乗せた後、そのプレイヤーが再び優先権を得る。
    (例)
    《クラーク族のシャーマン》《墓所のネズミ》などを複数回起動してスタックに積みたい場合、
    アクティブプレイヤーかどうかを問わず、起動のたび起動した側から優先権を持つため、
    相手に優先権をパスする前に能力を連続で起動する必要がある
    (優先権をパスしたら、もう解決に入ってしまうためシャーマンやネズミは死んでしまう)

     

    ・スタック上の呪文や能力などが解決されるたび、アクティブプレイヤーが優先権を得る。
    (例)
    「相手のターン、相手が土地を置く前に《グルマグのアンコウ》を唱えた。続けて《島》を置かれて青マナを構えられる前に除去を打ちたい」というのは不可(タイミングが無い)。

     

    ・スタックを用いない処理(土地のプレイ、待機や予顕の追放など)は、優先権が移動しない。
    (例)
    土地をプレイする際、相手にわざわざ対応の有無を確認する必要はない。

     

    ■全般(Xについて)

     

    ・X呪文のマナ総量の扱いは「マナ総量」の項に記載。

     

    ・ルール文章内でXが定義されたカードのX値は、解決するときまで変動しうる。
    (例①)
    《アスフォデルの灰色商人》のドレイン効果の解決前に黒のパーマネントを除去することで、Xを減らしてドレインの点数を減らすことができる。
    (例②)
    《呪文づまりのスプライト》の打ち消し効果の解決前にフェアリーを除去することで、Xを減らして打ち消しを対象不適正にすることができる。
    ※なお、《斧折りの守護者》や《草茂る胸壁》の能力もルール上の扱いとしては同じであるものの、これらはマナ能力でありスタックに乗らないため、能力の使用を宣言してから妨害を挟むタイミングが無いことに注意。

     

    ■その他

     

    ・同時に墓地に置かれるカードはそのオーナーが墓地に置く順番を決めることができる。

     

    ・(Pauperでは)既に墓地に置かれているカードの順番は勝手に変えてはならない。

     

    ■(補足)カードがPauperリーガルかどうかの正しい確認手順

     

    Pauperで使用可能なカードは、シンプルに「コモン収録経験があるカード(紙でもMagicOnlineでも)」。
    しかし、「コモン収録」と一口に表現しても、昔は今とレアリティの概念が少し違ったりして判断が難しいものがある。
    そういったカードを確認する手段について。

     

    ①MTG公式データベース「Gatherer」にアクセス
    ②シンプル検索でもアドバンス検索でもいいので、カード名などで検索をかける
    ③検索結果の「セット&リーガル」で「Pauper Legal」と表示されていればPauperで使用可能。
    ⇒確認したいカードが検索結果としてヒットしない場合は以下手順で再検索。
     ①Gathererサイト下部「言語」をクリック
     ②優先言語の欄で英語を選択、左下「保存」をクリック
     ③検索で英語名による検索を実行
     ※Gathererの仕様?として、日本語版カードが刷られているかどうかを問わず、「Webサイト設定を英語にしたうえで英語名で検索した時にのみヒットする」カードがあるため。

     

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