Pauper細かいルーリング紹介~if節ルール・遅延誘発型能力・状況起因処理・マナ能力~

  • 2021.6.5
    その他
    OONS

    はじめに

    OONSです。

    いつものルーリング記事(初回はこちら)の続編になります。

     

    前回の更新はなんとなく物量が足りなかった気がしたので、今回は多少ボリューミーにしてみました。

     

    そんなわけで今回の記事では、
    ・if節ルール
    ・遅延誘発型能力
    ・状況起因処理
    ・マナ能力
    について、ちょっと複雑なところを説明していきます。

     

    間違っているところや、これも載せた方がよくない?というところなどあれば、どしどしご指摘ください。

     

    ■if節ルール

     

    ・《黒死病》のエンド時効果のような、「条件(if ~)付きの誘発型能力」において適用されるルールのこと。
    ※正式オラクルにおいて、誘発イベントの”直後に”if条件が書かれている場合に該当する。つまり、
     「When(/Whenever/At) ~, if ~, do ~」ならif節ルールに従い、
     「When(/Whenever/At), do ~ if ~」(《激情のゴブリン》など)は従わない。

     

    ・「誘発イベント時(=誘発するか否かの判定時)」「解決時」に、それぞれif節の条件を参照する。

    (例)
    《黒死病》は、終了ステップ開始時にクリーチャーが居ない場合のみ誘発し、その解決時にもクリーチャーが居ない場合のみ生贄に捧げられる。
    つまり、相手の《黒死病》を生贄に捧げさせたい場合、「戦闘後メインフェイズ中にクリーチャーが居ない状況を作り、その状態で終了ステップに入って生贄能力を誘発させ、その解決時にもクリーチャーが居ないようにする」必要がある。

     

    ・if節ルールと似た別物の例として、《ティムールの激闘》《凶暴な一振り》などの呪文は、唱える際ではなく解決時のパワーを参照する。

    (例①)
    素の状態の《釜の悪鬼》に《ティムールの激闘》を唱えた場合、《釜の悪鬼》の誘発型能力から先に解決され、《ティムールの激闘》の解決時に《釜の悪鬼》のパワーが4になっているため、《釜の悪鬼》はトランプルを得る。

    (例②)
    対戦相手が《炎樹族の使者》とこちらのクリーチャーに対し《凶暴な一振り》を唱えた。《凶暴な一振り》の解決前に《汚涜》を唱えて《炎樹族の使者》に-1/-1修正を加えた場合、《凶暴な一振り》の解決時にパワーが2でないため+2/+2修正は発生しない。

     

    ■遅延誘発型能力

     

    ※先に言ってしまうと、《もみ消し》のように能力を打ち消す手段の無いPauperにおいては、これをあまりしっかり覚える必要はありません。
     今後そういった新カードが刷られた際のための予習がてら、どうぞ。

     

    ・《血の歌》《忠実な聖騎士》《悪性の傷》のように、「誘発型能力を生成する」呪文や能力によって生成された、後で何かを実行する能力。

    (例)
    《血の歌》は、「”攻撃するたびに修整を与える”という遅延誘発型能力を生成」している。

     

    ・これが生成された時点では、特にこれ自体がスタックに乗ったりはしない。誘発条件を満たした際に誘発し、そこで初めてスタックに乗る。

    (例)
    《もみ消し》で《忠実な聖騎士》の遅延誘発型能力を妨害したい場合、《忠実な聖騎士》の死亡時ではなく、終了ステップ開始時にこれが誘発しスタックに乗ったタイミングで唱えるのが正解。
    (※《もみ消し》は現状Pauperでは使用不可)

     

    ・期限が明記されていなければ、一回だけ誘発する。逆に、明記されていれば複数回誘発しうる。

    (例)
    《血の歌》による遅延誘発型能力は、追加の戦闘フェイズがあれば複数回誘発しうる。
    (※現状Pauperにおいては、追加の戦闘フェイズを与える手段は無い)

     

    ・特定のオブジェクトに影響を及ぼす能力は、誘発条件を満たすまでにそのオブジェクトが領域を移動した場合、誘発しない。

    (例)
    死亡した《忠実な聖騎士》をメインフェイズ中に追放した場合、終了ステップ開始時の遅延誘発型能力は誘発しない。

     

    ・遅延誘発型能力のコントローラは、それを生成した能力や呪文をコントロールしていたプレイヤー。

     

    ・似たものに、コモンでいうと《武勇の選定師》などが該当する再帰誘発型能力というものもあるが、Pauperで使われうるカードにこの能力のルーリングでごちゃつくところが無いため、ここでは割愛する。

     

    ■状況起因処理

     

    ・”プレイヤーが優先権を得る直前”、”クリンナップステップのターン起因処理後”に常にチェックされ、自動的に適用される処理のこと。
    ※基本的に優先権が発生しないクリンナップステップではチェックするが、同様に基本的に優先権が発生しないアンタップステップではチェックしない。

     

    ・チェックの際に処理すべき状況起因処理があれば、スタックには乗らずにそのまま(複数あればまとめて)処理し、再度チェックを行う、ということを処理がなくなるまで繰り返す。

     

    ・具体的な内容は以下。
    ※コモンに存在しないPWや英雄譚に関する処理、多人数戦や特殊フォーマット前提の処理など、Pauperのプレイに影響しない部分については割愛する。

     

    ①敗北:
    ライフ、毒カウンター、ライブラリアウトなどによる敗北条件を満たしていたら敗北する。
    (例)
    相手のライフが1、自分のライブラリが0枚の状況で相手に《針落とし》を唱えた場合、《針落とし》解決後の状況起因処理でお互いのプレイヤーが敗北し引き分けとなる。

     

    ②パーマネントを墓地に送る:
    タフネス0以下のクリーチャーは墓地に置く、致死ダメージを負っているクリーチャーは破壊される。
    ※タフネス0以下で致死ダメージを負っている場合は、前者の処理を行う。つまり、破壊ではなく墓地に置かれる。

    (例①)
    自分の墓地が6枚、かつ自分の《敏捷なマングース》がいる状態で《焦熱の連続砲撃》を唱えたとする。
    《焦熱の連続砲撃》解決中はタフネス1に対して2点のダメージが入っている。
    しかし、解決後の状況起因処理のチェックの時点では、墓地に《焦熱の連続砲撃》が追加され、墓地が7枚になっている。
    ⇒スレッショルドが達成され、タフネスが3になっており、致死ダメージではないため破壊されない。

    (例②)
    相手のライフが11点の状態で、1/1の《グール・ドラズの吸血鬼》2体でアタック(A,Bと呼ぶ)し、Aが《ボーラスの占い師》にブロックされた。
    まずダメージ解決により、Aと《ボーラスの占い師》と相手本体に1点ずつのダメージが入る。
    その後、状況起因処理のチェックが入るが、その時点では相手のライフが10になっている。
    ⇒《グール・ドラズの吸血鬼》の3/2になっており、1点の戦闘ダメージを受けたAは破壊されず場に残る。

     

    ③オーラや装備品などの処理:
    不正な対象についているオーラや装備品、オーラや装備品として何かについていたがオーラや装備品でなくなったもの、は外れる。オーラなら墓地に置く。
    また、何にもついていないオーラも墓地に置く。

    (例)
    オーラがついているクリーチャーが《喪心》により破壊された場合、《喪心》の解決中にクリーチャーが破壊され(墓地に置かれ)る。
    その後、《喪心》解決後の状況起因処理によってオーラが墓地に置かれる。
    ※Pauperでは墓地のカードの順序を参照するカードがあるため、このあたりの処理が影響しうる。

     

    ④コピーやトークンの消滅:
    戦場以外の領域にあるトークン、スタック以外の領域にある呪文のコピー、スタックと戦場以外にあるカードのコピー、は消滅する。

    (例)
    《害獣召喚学》の邪魔者トークンは死亡時に1点のライフゲインを行う。
    これは、トークンは「墓地に置く代わりに消滅する」のではなく「墓地に置かれた(=死亡した)のち、状況起因処理で消滅する」からこその効果であるといえる。

     

    ⑤カウンターの処理:
    +1/+1カウンターと-1/-1カウンターが単一のパーマネントに乗っている場合、その2つのうちで少ないほうと同数だけ、両方のカウンターを取り除く(つまり打ち消し合う)。

    (例)
    《授業初日》が適用された状態で《朽ちゆくゴブリン》が死亡した場合、頑強効果によって-1/-1カウンターが乗った状態で戦場に出て、《授業初日》が誘発し+1/+1カウンターが置かれる。
    この処理の解決後の状況起因処理によって、-1/-1カウンターと+1/+1カウンターが取り除かれる。

     

    ⑥レジェンド・ルール:
    同名の伝説のパーマネントを複数コントロールしている場合、1つだけを選び他は墓地に置く。

     

    ・《ダンダーン》等の状況誘発(元”状態誘発型能力”)は、状況起因処理とは別物。
     状況誘発は、その状況を満たしたら即座に誘発し、通常の誘発型能力と同じように処理を行う。

     

    ■マナ能力

     

    ・以下の能力をマナ能力と呼ぶ。
     ①対象を取りえない、かつ忠誠度能力でない、マナを加えうる起動型能力
     ②起動型マナ能力もしくはマナが加えられること自体を誘発条件とする、対象を取りえない、マナを加えうる誘発型能力

    (マナ能力の例)
    《森》、《彩色の宝球》、《ラノワールのエルフ》、《楽園の拡散》
    (マナ能力でない例)
    《進化する未開地》、《炎樹族の使者》、《暗黒の儀式》、《東家のエルフ》

     

    ・スタックに乗らず即座に解決されるため、他の呪文や(マナ能力を含む)能力を割り込ませる余地はない。
    (例)
    《彩色の宝球》のマナ能力の起動に対応して、ドロー前に何かをする(《思考掃き》による妨害など)ということはできない。
    《彩色の星》であれば、ドロー効果はマナ能力とは別物であるため、こちらはできる。

     

    ・呪文のプレイや能力の起動の際、もしくは《魔力の乱れ》のような呪文や能力の解決の際にも、マナの支払いが求められるタイミングで起動することができる(優先権ルールの例外といえる)。
    (例)
    こちらの立っている土地が1枚の状況において、相手の《誤算》に対応するためマナを増やしたい場合、《暗黒の儀式》《東家のエルフ》などマナ能力でない手段は《誤算》解決前に使用する必要があるが、マナ能力は《誤算》の解決中に起動できる。

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