※禁止改訂前の記事になります。
イニストラード真紅の契りのフルスポイラーが発表され、各コモンに採用面接をしていた時のこと。
へえ、《君主の一噛み》を1点減らしてルーティングのオマケをつけた感じか。
地味だけど、ドレイン効果自体が《血管の施し》《癇しゃく》と噛み合ってるし、けっこう悪くないね。
…?
2つ…?
2つ!!!???
「2本の鋭い牙を突き立て、2つの傷口から血を吸う」という吸血鬼フレーバーと今回のメカニズムを合わせるために設定されたであろう、コモンらしい成り立ちを持つこの効果。
自分は彼に並々ならぬポテンシャルを感じ、これを軸に据えたデッキを考えることに決めました。
まず、デッキの大方針から。
《血》トークンを活かすならば、「マッドネス」「息切れ防止」あたりでしょうか。墓地肥やしには少し悠長すぎます。
そのあたりを加味して、活用できうるアーキタイプを考えると、以下が候補として考えられます。
・赤黒マッドネス
⇒一番シンプルな回答であり、《癇しゃく》《台所のインプ》《信仰無き物あさり》など、優秀なマッドネス関連カードが揃い踏み。後述しますが、新カード《ヴォルダーレンの美食家》も採用できます。
元々知られている赤黒マッドネス自体は《台所のインプ》などを中心としたビートダウン軸のイメージが強いですが、《吸血鬼の口づけ》自身が盤面に干渉できないことを考えると、ビートダウンを目指すデッキでは不純物になってしまいます。
このことから、《吸血鬼の口づけ》を活かすならば、《癇しゃく》《血管の施し》《夜の衝突》など絡めたバーン軸に寄せた方が綺麗に纏まりそうです。ドレイン呪文によって、直接本体を狙う勝ち手段を持つ親和やバーンにある程度耐性を持つことができるため、メタ的にも良い感じでしょう。
・黒緑マッドネス
⇒「《水流破》に当たらない共鳴者」という見方をするならこれ。
マッドネスも共鳴者も、それなりの頭数は揃っていますが、前述の通りビートダウン軸自体がこのカードと合っていないこと、シンプルなカードパワーで赤黒に劣ること、これらが理由で除外しました。
・黒単バーン
⇒元々メタゲーム次第で戦えているアーキタイプ。《夜の衝突》《ティゼルスの果実》以外のマナフラ受けが候補として追加されたのは嬉しいところですが、地味な選択肢の追加というレベルであまり変わり映えしないので、今回は除外しました。
・堕落コントロール
⇒相手によって有効牌と無駄牌が大きく変わるデッキであり、直接ライフルーズを狙うデッキなので、ドレインもルーティングも噛み合い自体は良さそう。ですが、こちらも地味な選択肢の追加というレベルなので除外しました。
結論から入りましょう。
色々と調整を日々繰り返していますが、現在は以下のリストにまとまっています。
<メイン 土地以外>
4:《ヴォルダーレンの美食家/Voldaren Epicure》
4:《信仰無き物あさり/Faithless Looting》
4:《吸血鬼の口づけ/Vampire’s Kiss》
3:《胸躍る可能性/Thrill of Possibility》
4:《癇しゃく/Fiery Temper》
4:《稲妻/Lightning Bolt》
4:《血管の施し/Alms of the Vein》
4:《夜の衝突/Bump in the Night》
2:《ティゼルスの果実/Fruit of Tizerus》
3:《荒廃稲妻/Blightning》
3:《闇の萎縮/Dark Withering》
1:《エヴィンカーの正義/Evincar’s Justice》
<メイン 土地>
4:《ラクドスの肉儀場/Rakdos Carnarium》
4:《硫黄のぬかるみ/Sulfurous Mire》
3:《進化する未開地/Evolving Wilds》
6:《山/Mountain》
3:《沼/Swamp》
<サイド>
3:《粉々/Smash to Smithereens》
3:《ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman》
3:《殺し/Snuff Out》
3:《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》
2:《灰は灰に/Ashes to Ashes》
1:《エヴィンカーの正義/Evincar’s Justice》
ざっくり言えば、「ドロー系の共鳴者」とマッドネス呪文を組み合わせることで、手札を枯らさず相手の本体に火力を撃ち込み続けることを目指しています。
共鳴者のドローでアドバンデージを稼げるので、相手によっては火力呪文をガッツリ盤面処理に回すコントロールプランも取れます。
ドローするうちに土地も伸びるので、各種フラッシュバックや脱出も積極的に使っていけます。
各カードについて、解説していきましょう。
現在採用外のカードを含め、すべて解説していこうと思います。
・《吸血鬼の口づけ/Vampire’s Kiss》
2点ドレインでバーン軸の身になりつつ、マッドネスと絡めてアドバンテージを稼いだり、終盤に有効牌を探しにデッキを掘ったりします。何度回しても、このカードがとにかく強いです。迷わず4枚。
なお、これを筆頭としたルーティング呪文は、「マッドネスを活用する」「終盤に土地を捨てて有効牌を掘りに行く」ために採用しており、それで手一杯なので、「ルーティング手段があるから、メインから《赤霊破》入れチャオ!」という構築思想にはなりません。普通のデッキと同じように、腐る可能性が高いカードはサイドボードです。
<《信仰無き物あさり》との比較で語る①>
《物あさり》は、マッドネスと絡めてアドバンテージを取るなら「マッドネスカードと、その分のマナコストを確保した上で唱える」「マッドネスカードをソーサリーアクションと一緒に唱える」ことが求められ、動きが固くなります。《吸血鬼の口づけ》にはこの制約がありません。
具体的な例として、2Tに《吸血鬼の口づけ》を唱えたのち、3Tにマッドネス呪文を構えながらターンを返し、相手の展開に合わせてエンドステップなどに動く流れがこのデッキの基本ムーブです。この柔軟な動きは、このカードならではといえるでしょう。
<《信仰無き物あさり》との比較で語る②>
このカードを2Tに唱える動きは、フェアリー系デッキとの対面において特に面白い強さを見せます。
例えば、「3Tに《物あさり》をマッドネス2枚を添えて唱える」という動きは、このデッキで最も強い押し付けアクションと言えます。
ですが、先手後手を問わず、Pauperフェアリーを相手取り、3Tに1マナソーサリーに依存した動きを取ることにどんなリスクが伴うかは、説明するまでもないでしょう。これを打ち消されてしまうと、次の共鳴者を引けない限り、マッドネス呪文はリミテッドですら採用を躊躇する弱さになってしまいます。また、この打ち消しアクションに対して《赤霊破》なり《稲妻》なりをうまく合わせられたとしても、そのためのマナの支払いにより、マッドネスを唱えることができず、結果的にはアドバンテージ取得機会の損失に繋がります。
それに対して、2Tの黒い2マナ呪文である《吸血鬼の口づけ》は通せることが多く、地味に面倒なドレインをしつつマッドネスドローを2回分確約することができます。
・《ヴォルダーレンの美食家/Voldaren Epicure》
《吸血鬼の口づけ》と近い強みを持った共鳴者。何故か着地時に1点ダメージも飛ばし、相手の展開が遅れればクロックを刻んでいけます。これも4枚。
1Tにこれを置けると、2Tに《癇しゃく》《闇の萎縮》でドローして相手クリーチャーを除去しつつ殴っていく動きができます。これは後手の場合に重要な動きで、《深き刻の忍者》のタネとなりうる《ボーラスの占い師》や、ドレインで誤魔化しきれない速度の《熱錬金術師》、最速で置かれてしまった《深き刻の忍者》など、厄介なところをサクッと処理しつつクロックを通し、このたった1マナの(しかも献血の仕事を既に済ませた後の)生物のためにブロッカーの展開なり除去呪文なりを強制することができます。
タフネス1生物と正面衝突させたり、《黒薔薇の棘》などタフネス3生物にチャンプアタックして《焦熱の連続砲撃》《エヴィンカーの正義》を通したり、アタックを通せなくなった後も常に嫌な使い道は考え続けましょう。
チャンプブロックに回すにしても、例えばトランプルやプロテクションをオーラで付与してくるタイプの相手なら勿体ぶらずに早めにブロックしてしまう、そうでなければブロッカーを立てさせるために取っておくなど、それなりに考えることはあります。
なお、デッキとしてバーン軸に寄せることを考えるとクリーチャーの採用は多少不純ではありますが、彼の場合は棒立ちになってしまう状況であっても最低限《針落とし》に近い役回りを持てるのが強力です。
・《信仰無き物あさり/Faithless Looting》
「1マナでマッドネス2回分動けてテンポ優秀」「フラッシュバックで中長期戦も対応&ちょっとした打ち消し耐性あり」と、シンプルなパワーカードなので迷わず4枚入ります。
素打ちも普通に強いカードですが、単純な枚数リソースを減らしたくない場合や、中盤以降に手札がこれだけになってしまった場合など、《血》でこれを捨てて1枚引いてからフラッシュバックで掘っていくことで、ハンドアドバンテージ的にはちょっとお得に動くことができます。
※《ティゼルスの果実》が落ちている場合は、ハンド枚数だけでなく掘る枚数もアドバンテージとして重要なので、そことの天秤になります。
なお、「これと土地1枚でキープして、これを使って土地を探しに行く」という動きは世界一弱いので、そんなキープは(ダブマリでもない限り)しないようにしましょう。
・《胸躍る可能性/Thrill of Possibility》
共鳴者の枚数が12枚だけでは不安があるので、追加のドロー系共鳴者として採用しています。
《払拭》を強く使われてしまうリスクにおいては《苦しめる声》に劣りますが、それでも柔軟性の観点からこちらを選択して間違いないと思います。
《物あさり》と違ってディスカードがコストなので、相手が打ち消しを持っていようとマッドネス1回分を確保でき、テンポ面の安定化に寄与します。
具体的な例を挙げれば、例えば後々紹介する《闇の萎縮》を、相手の打ち消し有無にかかわらず1マナで唱えることができる、ということです。
とはいえ、そもそものカードパワーがあまり足りていない節がありつつ、サイド以降に《水流破》《払拭》を強く使わせてしまうことになるので、今のところは2~3枚ですね。
《餌投げ/Fodder Tosser》
今現在で言うと、
・誰でも積んでいる親和メタを踏んでしまうこと
・3マナで盤面にも手札にも干渉しない(1枚アド損する)こと
・ドロー系共鳴者と挙動が異なるため、マナフラやマナスクのリスクが上がる
という部分が気にかかり、外しています。
しかし、クリーチャー除去が効かないパーマネントであり、0マナ起動のライフルーズ共鳴者であり、唯一無二かつ強力です。メタによってはアリでしょう。
他のドロー系共鳴者とは異なり「回答を探す」動きはできないので、《ゴリラのシャーマン》《虚無の呪文爆弾》などを探しに行く動きはできません。そのため、激烈に刺さるサイドボードが無い、フェアリーのようなフェアデッキが多いメタゲームにおいて真価を発揮するカードと言えそうです。
・《血管の施し/Alms of the Vein》
・《癇しゃく/Fiery Temper》
マッドネス枠。両方4枚。
前述のドロー系共鳴者と合わせることで、頭悪めのスペックになります。
マッドネスコストは1マナですが、呪文としてのマナ総量は3なので、《呪文づまりのスプライト》《禁制》などに耐性があります。
・《夜の衝突/Bump in the Night》
黒単バーンでも使われるこのカード、黒赤のバーンで使わない道理はありません。4枚。
ボロスラリーなどでは「フラッシュバックは捨てても使えるからルーティングと合う」というのが通説ですが、このカードはフラッシュバックコストがかなり重いことや、フラッシュバックがあるとはいえ有限のリソースであることから、これを捨てることは滅多にありません。普通に2回使います。
なお、サイド後など墓地対策が見えているときは、手札に溜めておいて7マナから一気に使い切るのもアリです(優先権の問題で、墓地対策が割り込めないように)。ただ、溜めたら溜めたでハンデスやライフレースに泣くことになったりもするので、そのあたりの細かいリスク勘定は難しいところです。その都度判断。
・《ティゼルスの果実/Fruit of Tizerus》
脱出コストが軽めで、なんやかんや使い回す機会が多いカード。2枚。
2Tに2マナから《物あさり》を打ちたい(1枚しかマッドネスできない)時や、終盤に手札ゼロからトップして《血》や《物あさり》で掘りたい時など、他のカードよりは捨てる優先度高めです。フラッシュバックとは異なり、実質的に無限に近い回数唱えられるためです。
《夜の衝突》同様、サイド後に5マナから一気に4点分として使う地味テクは忘れないようにしましょう。素唱えにスタックで墓地全体を追放されると脱出のためのリソースが無くなってしまい打てませんが、これ自体が残るので、おいおい打てます。
・《暴君の選択/Tyrant’s Choice》
2マナとはいえ、1枚で4点持っていけるのは単純に優秀です。《水流破》《払拭》が当たらないので、通るか通らないかが多少判断しやすいのもプレイング上助かる部分。
枠の都合で今は外れていますが、シンプルな本体火力を足したい時は筆頭候補になります。
・《君主の一噛み/Sovereign’s Bite》
黒単バーンで現役なだけあり、強いは強いのですが、ライフゲインがあまり有効でない相手とのマッチアップではただの遅い《溶岩の撃ち込み》に成り下がる、そしてそういう相手が多いというのが引っかかります。
かつ、3点のライフゲインを活かしたライフレースを仕掛けたいバーンやアグロ相手には、既に8枚内定しているドレイン呪文で事足りる(むしろ盤面処理手段の方が重要度高)場合が多く、《暴君の選択》の方が候補として強く見ています。
・《荒廃稲妻/Blightning》
赤黒でアドバンテージを稼ぎつつ本体バーンを狙うデッキとして、性能が噛み合います。
ただし、盤面に触ることはできず、3マナはそれなりに重いので、重ね引きのもたつきやアグロ相手の裏目など考慮して枚数を調整しましょう。
※こういう類のハンデスは逆に「重ね引きした方が強い」場合も多々あるので、判断が難しいところです。
また、このデッキはノンクリーチャー軸であることから、相手にとってみれば除去やブロッカーなどが腐る節があり、それらを捨てることで実質的にはアドバンテージを失っていないという結果になる場合もあり得ます。そのため、性能の方向性としての噛み合い自体は良いものの、ハンデス部分のバリューは赤黒のミッドレンジなどと比べて弱いと言えます。
上ブレも下ブレも激しいカードなので、上ブレした時の脳汁に流されて性能を誤認することが無いよう、気を引き締めて採用/サイドインアウト判断しましょう。
・《闇の萎縮/Dark Withering》
・《終末の苦悶/Terminal Agony》
マッドネス除去。
勝ちを目指す意味では不純物ですが、タフネスの高い《王神の信者》《ラゴンナ団の先駆者》や、《エイトグ》、《道の探究者》、青単の《深き刻の忍者》など、火力を耐えてくる敵に対する確定除去として重要です。
また、単純にアドバンテージ手段としてマッドネスの数を確保する意味でも、必要な枠です。
《ギルドパクトの守護者》は対処の優先度がかなり低いことや、黒単が環境にそう多くないことを考えると、《闇の萎縮》が完全に腐ることはあまり無いので、基本はシンプルに軽い《闇の萎縮》に寄せていいと思います。《水流破》《真紅の見習い僧》が刺さらないのも嬉しいところです。
ただし、黒単耐性以外にも「《大霊堂の信奉者》に打てない」「素唱えが異様に重い」というデメリットもあるので、メタゲーム次第で散らして採用してもよさそうです。
・《稲妻/Lightning Bolt》
このデッキの主なゲームプランとして、
・盤面を無視して、単純に顔を焼き切って勝つ
・火力で盤面を捌き、ライフルーズでゆっくり勝つ
という二軸がベースにあり、例えば「ドレインのライフ回復で耐えきれそうだから盤面は無視しよう」「あれ放置すると忍術からの再着地で打ち消し拾われるから焼いておこう」など、適宜調整しながら動くことになります。
《稲妻》は、マッドネスや共鳴者というシナジーの観点では不純物ですが、除去と本体火力の両面で最高クラスの働きをしてくれる安定感が魅力です。基本的には4枚取っていいでしょう。
・《殺し/Snuff Out》
《王神の信者》《魂の管理人》《忍者》など早期対応がマストな軽量クリーチャーに対して役割を持てます。
このデッキは、何かしらのアクションを起こすに際し基本的にマッドネスを絡めるため、《稲妻》以外の初動対応が遅めなフシがあり、そこを解決する良カードです。
ただし、《闇の萎縮》と対応範囲が被ること、そもそも除去を入れ過ぎたくない(身を減らしたくない)ことがあり、現在はサイドに置いています。メタゲーム次第でメインに移すかもしれません。
・《灰は灰に/Ashes to Ashes》
そこまで速度が速くない、クリーチャーをそれなりに並べるデッキに対応するカードとして採用しています。
最近採用したので、使用感を掴み切れておらず自信持ち切れてないのですが、このデッキであれば割とサイドボードのマスターピースになりうるのでは?と考えています。
・《エヴィンカーの正義/Evincar’s Justice》
ドレイン呪文によるライフ差を有効活用できる全体除去。
4マナソーサリーで2点だけとはいえ、盤面のごまかしと本体火力を兼任できて、メインから採用しても腐らないのはありがたいところです。
サイド以降でも、エルフや青単などが《水流破》などで《連続砲撃》対策を取ってくるところをすり抜けられます。
ちなみに黒マナはあまり沢山出ないので、《黒死病》《墓所のネズミ》よりはこちらかなと思っています。
・《焼尽の猛火/Searing Blaze》
わかりやすいパワーカードではあります。
速度で誤魔化せないデッキだから相手の脅威をしっかり捌く必要があるという課題と、本体火力の枚数を確保する必要があるという課題を、同時に満たします。
土地多めなデッキバランスとも噛み合っています。
が、ダブルシンボルなのが厳しく、2マナとはいえ実際に安定して打てるのが4ターン目あたりであることから除去としての信頼が置けなそうなことが気にかかり、今は採用できていません。
・《魂の刈り取り/Soul Reap》
強力ですが、これも達成条件が難しく採用できていません。
今のリストを調整して採用するというよりは、このカードを軸に据えつつ、うまいことデッキを黒に寄せて(これに寄せた専用構築的に)組めないかな?と、よく考えてはいます。
採用カードのバランスに応じて適宜調整しますが、基本思想は以下です。
・最低限5~6マナくらいまではスムーズに土地を伸ばしたいことや、アドバンテージの観点などから、バウンスランド4は確定。そのうえで、全体枚数も20は確保したい。
・呪文を1ターンに複数回打つ動きが多くなることから色マナ要求が多くなり、序盤から赤も黒も打ちたい呪文が多いため、タップイン2色土地は少し多めに無いと序盤に動き辛い。具体的には、例えば3Tに《物あさり》から《闇の萎縮》《血管の施し》を唱えたい場合は赤黒黒が必要になるし、《胸躍る可能性》から《癇しゃく》を唱えたければ赤赤が必要。ただし、バウンスランドとの噛み合いが悪いので、その点マシな《進化する未開地》とバランスを適宜調整。
・上記でタップイン土地が増えてしまうため、少なくともメインでは《ボジューカの沼》やサイクリング土地は積みづらい。
・タップイン2色土地の1~4枚目は、《殺し》を採用するなら《硫黄のぬかるみ》、しないなら《血溜まりの洞窟》。後者の場合は《未開地》の価値が少し上がるので、《未開地》を削って5枚目以降の《血溜まりの洞窟》として《硫黄のぬかるみ》を1~2枚残しても良い。
・基本土地は、なるべく初手に打ちたい《ヴォルダーレンの美食家》のために、マナベースとして崩れない範囲内で、できるだけ《山》に寄せる。《夜の衝突》《ティゼルスの果実》は少し遅れても問題なく(むしろ意図的に取っておくこともある)、《美食家》以上に重要な《吸血鬼の口づけ》はタップイン土地+《山》で遅れなく打てるので問題ない。
・基本土地は、《雪崩し》など誤認させるために氷雪基本土地にした方が確実に良い。今そうしていないのは、イラストの好みと気持ちの問題であり、甘え。許してくれ。頼む。
・《ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman》
破壊不能土地ばかり引かれると辛いところですが、遅めの赤デッキにできる最大限の親和メタであると言っていいと思います。
気持ちで言えば4枚欲しいですが、何枚も重ね引きして身を引かずにグダると普通にアドバンテージで負けるので、他デッキへの枠を確保することも考えて3枚が適正枚数かな?と見ています。
ただ、親和も《水流破》で打ち消してきたりするので、あまりに親和が多いようなら4枚でもいいかも。
・《粉々/Smash to Smithereens》
親和メタでありつつ、ペストやトロンのマナファクトにも刺せるのが嬉しいカード。
親和には破壊不能土地ばかり引かれても、最低限《マイアの処罰者》なり《血の泉》なりに当てていけます。
また、ペストはサイドから墓地対策しながら《清純のタリスマン》を回されると面倒だったり、遅いデッキとしてトロンが普通に厳しかったりするので、そのあたりのデッキへの対処として、最低3枚は確保したいところです。
・《虚無の呪文爆弾/Nihil Spellbomb》
墓地コンボ・ブリンク系コントロール・赤緑続唱に対して、赤単バーンのように「速攻で殺せばいい」というアプローチを取りづらいデッキなので、墓地対策の採用もマストです。
使う際の注意点として、これを入れるべきどの相手に対しても「長引くと負ける」のは確実なので、黒マナを立てることにこだわり過ぎず、ただの《トーモッドの墓所》として運用する判断も大事です。特に、傲慢にも《ムラーサの胎動》に対応しつつドローするために3ターン目から黒マナを構え続けたりすると、《ムラーサの胎動》が無くとも普通に速度負けしてしまいます。
・《大祖始の遺産/Relic of Progenitus》
基本的には、自分が墓地をモリモリ活用するという点、マナを構えず焼き切る運用をしうる点、初手に無く中盤以降にトップした場合のバリューの差から、これではなく《虚無の呪文爆弾》を優先しています。
ただ、初手で握れた場合に、毎ターンのタップ効果により《虚無の呪文爆弾》以上の刺さり方をする相手も多いので、墓地対策を刺したい相手が多そうであれば、初手から握る前提で採用枚数を4枚としつつこちらに変えるのもアリかなと考えています。
・《紅蓮破/Pyroblast》
確定枠に置いていないことが怒られそうなパワーカードです。
対ブリンク系は、特にクリティカルなところが《孤独な宣教師》《王神の信者》など白系なので、このカードはあくまでそれらへの除去を通すためのサポートや、それらを引かせないための《熟考漂い》《海門の神官》潰しとして使う形になり、どちらにせよ間接的です。
対クロックパーミッションは、対処したいカードは《占い師》《忍者》《スプライト》など青系ではあります。(もちろん《対抗呪文》も嫌ですが、問題はそこではなく、アド差によってそのような打ち消しを何枚も使われることです)
しかし、実績としては概ねこれらも打ち消されてしまっており、ただの1:1交換にしかなっておらず、今は外しつつ他の選択肢を試しています。
これに関しては、自身のプレイングの不手際による部分も恐らくあるのですが、構築思想そのものによる部分が大きいと見ています。
対青において打ち消しを防ぐハンデス以外の手段としては、基本的に「①盤面で優位を取り、打ち消し以外のアクションを強いる(構える余裕をなくす)」「②金太郎飴な構築にしつつテンポやアドで上回り、打ち消しを弱く使わせる(ただの弱い1:1交換を強いる)」というアプローチが考えられますが、ノンクリーチャー軸である以上①は厳しく、マッドネスシナジーのために多少重く動く&キーである共鳴者を打ち消されるとアドバンテージも稼げないので②も厳しいのです。
このことから、今のノンクリーチャー軸というデッキコンセプトである限り《紅蓮破》を使って打ち消し合戦に持ち込んだうえでそれを制することは難しく、青に対処するなら素直にハンデスを使うか、除去の数そのものを量増しするか、の方が適切なのではないかと考えています。(《殺し》は、その発想から採用に至っています)
※逆に言えば、《グール・ドラズ》など入れたビートダウンの線も取るタイプの構築であれば、①が現実味を帯びるため《紅蓮破》の有用性は一気に向上します。
・《強迫/Duress》
前項の通り、青系デッキへの対処として消去法的に選択肢に上がるカードです。
ただし、例えばペストのように「通せば勝ち」という実質的な決着をつけられるカードがあるわけではなく、終盤まで戦い続けるデッキなので、その終盤でのトップがあまり強くない(割と腐る)ところが引っ掛かっています。
・《稲妻の斧/Lightning Axe》
《傲慢な新生子》と同様に、そもそもが「1枚損する」カードであり、マッドネスを絡めてもアドバンテージは取れないので、構築思想に合わずメインには入れていません。
しかし、《胸躍る可能性》と同様に打ち消しの裏目を度外視しつつテンポ良く動ける側面があるので、序盤の捌きを重視したい場合や、単純に除去を量増ししたい場合などにサイドボードに採用することがあります。
・《はらわた撃ち/Gut Shot》
遅めなデッキなので、序盤の捌きが肝心なデッキに対するテンポ面を誤魔化すためのカードです。対フェアリーや対エルフ等に。シンプルなので、あんまり書くことないですね。
・《焦熱の連続砲撃/Fiery Cannonade》
ちょっとした単体除去では処理できない速攻型のビートダウン(面展開アグロやエルフ、青単など)に対する遅延手段として。
単純なスペックで言えば《エヴィンカーの正義》に勝りますが、それらのデッキはサイドからこのカードに備えて《水流破》《払拭》などを入れてくるため、現状は《エヴィンカーの正義》に枠を譲っています。
最初は、クリーチャーも多少入れた、ビートダウン&バーンという構成でした。
これはこれでハマれば強く、実際それなりに勝てていたのですが、こちらの生物・本体火力の引き込みバランスと、相手の除去・ブロッカーの引き込みバランスの噛み合い、つまり運で勝負が決してしまうことが多くありました。
それが気持ちの面で引っ掛かってしまったので、しっかりプレイングや構築が勝敗に強く介在できるよう、バーンデッキとしての純度を上げるために、共鳴者である《美食家》以外のクリーチャーは外しています。ちょっと非競技というかティミー寄りな思想かもしれません。
今後、また機会を見つけて、こちらの方面も時々試していこうと思っています。
・《台所のインプ/Kitchen Imp》
シンプルに優秀。
ノンクリーチャー軸でも、フェアリーや統治者を狙ったサイドボードの選択肢に入ってきます。
サイドボードに置いておくと、メインから抜きたいカードがある場合に数合わせ的に入れられるのがありがたいところです。
・《グール・ドラズの吸血鬼/Guul Draz Vampire》
こちらもシンプルに強力。バーンと噛み合います。
《台所のインプ》よりも安定感はあるものの、サイド以降は《嵐の乗り切り》をコンバットトリックとして使われてしまったりするので注意しましょう。
・《熱錬金術師/Thermo-Alchemist》
除去の薄いコンボなどに速度勝負を強いられる際、「これがいないと速度で勝てない」場面もあったり、ビートダウン相手にこれを置けば相手が除去を引けない限りイージーウィンできたりと、やはり単純なカードパワーの高さが目立ち、ノンクリーチャー軸でも採用を考えうる性能かなと思っています。
ただし、フェアデッキ、特にフェアリーには弱いので、メタゲームに応じて入れたり抜いたり試してみているのが現状です。
※あくまで感覚ですが、紙だとフェアリーや黒単など除去を絡めたフェアデッキがMOより多い(トロンやサイクリングストームなどアンフェアが少ない)ような気がしており、「紙よりMOの方が強い」カードかなとも思います。
・《傲慢な新生子/Insolent Neonate》
最初は入れていたのですが、このデッキでは意外と弱いように思え、今は外しています。
1マナから出て、威迫で2~3回殴って除去対応でルーティング…などできれば良い感じではありますが、このカードが同じ赤1マナ共鳴者の《美食家》と大きく異なるのは「自分を生贄に捧げる」というところ。つまり以下です。
・そもそも《新生子》の生贄分で1枚アド損しており、マッドネス絡めてもプラマイゼロ
・最序盤に置かないと威迫を活かして殴れない割に、最序盤に置くと除去対応でのマッドネス利用のためのマナを浮かせられず、普通に除去されてしまう(もしくはマナを無駄に浮かせて他の動きがもたつく)ことが多い
思いつく範囲&思いつく順で、ざっくりと。特にTier順とかではないです。
・バーン:
ガン有利。
ドレイン呪文が実質的に《対抗呪文》+《溶岩の撃ち込み》として機能しつつ、アドバンテージ獲得力でも勝ることから、早期から《貫かれた心臓の呪い》を複数枚貼られでもしない限りは、長引かせてゆったり勝つのが基本になります。
「クリーチャーは絶対に生かしてターンを返さない」「ドレインにスタックで殺されないよう、変にチキンレースせずドレインは早めに打てるだけ打つ」だけ守れば、基本勝てます。
・色んなアグロビートダウン:
色々あるので一括りにしづらいものの、多くは勝てています。
対バーンと違って大原則のようなゲームプランがなく、相手のクリーチャー採用数やデッキ構成などから適宜判断する必要があります。
ただ、相手のクリーチャーが生き残れば生き残るほどこちらへのダメージは当然蓄積されるので、焼くなら焼くで早く焼くのが重要です。
・親和(グリクシス):
実績ベースで言えば、トントンに近く、若干負け越し気味、くらいです。
速度勝負な節があるので、先手後手がかなりクリティカルに響きます。《大霊堂の信奉者》がこちらの《血》と噛み合ってしまうのですが、かといって3点火力をそこに向けてキルターンが遅れると普通に押し切られるので、そのあたりは適宜判断としか言いようがありません。
・ボロスラリー:
構築当初は不利かと思っていましたが、そうでもないなというのが最近の感覚。
もしかしたらMOでゆるめの使い手に多く当たるせいかもしれませんが、結果で言えば大幅に勝ち越しています。
《道の探究者》を最優先で処理する(黒除去は他に使わずとっておく)こと、可能なら《虹色の断片》を構えられる前に火力呪文を消費しライフルーズでのフィニッシュを目指すこと、を考えて動きます。
・白単英雄的:
若干不利寄りのトントンくらい。
《聖なる猫》《絆魂》を何枚引かれるか?と、どれだけ除去をケアして動いてくるか?の噛み合い次第なところがあります。
終盤はプロテクションをつけてブロック抜けてくるので、《美食家》のチャンプブロックは早めに使いましょう。
・ペスト:
《エイヴンの裂け目追い》がいる大昔の型でない限り、有利です。
サイドからは3マナファクトに《粉々》を刺していきましょう。
ハンデスが飛んでくるので、《強迫》スタックでインスタントを消費してマッドネスだけ残したり、《酷評》スタックで《血》を起動してマッドネス使ったり、なるべくインスタントタイミングで動くようにします。
また、手札によりますが、共鳴者を《信仰なき物漁り》に依存したキープをしている場合は、《酷評》で抜かれないよう無理してでも早めに使って墓地に落とすなどのケアも必要です。
・黒単:
若干有利くらい…だと思うのですが、なんやかんや多分負けてないので、結構有利なのかも。
《アスフォデルの灰色商人》を複数枚通されるか、腐る《闇の萎縮》をメインで何枚も引いてしまうか、ハンデスで共鳴者を落とされ機能不全に陥るか、負けるとしたらそのあたりが敗因になります。
・トロン:
メタゲームによって形を変えるデッキなので評価が難しいものの、基本は不利です。
速度に欠けるため、ライフゲイン呪文のサーチとキャストが間に合っちゃうんですよね。
《虚無の呪文爆弾》を活用して《ムラーサの胎動》を潰したり、ライフゲイン呪文の使い回しを防いだりしつつ、基本的には全速力で焼き切りを目指しましょう。
・ジェスカイコントロール:
緑のゲインが無い分で、トロンよりマシな不利寄りですが、トロンと近い話で、チンタラしているうちにロック体制に入られてしまいがちです。
ただ、トロンと違いライフゲイン連打されるわけではなく、あくまで打ち消しの使い回しが基本なので、ロックされたように見えてもうまいこと隙を突いてシバける場合もあります。
・青白ファミリア:
相性関係はあまりハッキリしません。
机上の想像では、メイン有利寄りでサイド不利寄りくらいかな?と思っているのですが、これまで当たった殆どの試合でメインからクリティカルに刺さる《王神の信者》スタートを切られて全て負けており、そうでないパターンの試行回数も稼いで判断したいところです。
・青赤/青黒クロパ:
不利です。
ここのマッチアップはちょっと特殊で、「手練れの青赤/青黒には殆ど負け、そうでもない青赤/青黒には割と勝てる」という感じです。相手側のローグへの対処力に大きく左右されるということだと思います。
とにかく《忍者》マウントを取られるかどうかが勝負を決めるので、全力で潰しに行きましょう。
・青単クロパ:
実績ベースに言うならばかなり有利です。記憶の限り敗北は1回のみ。
「アグロ寄りデッキだけどクロックが太くないので、ドレインのバリューが高い」という側面と、「向こうはそもそもが墓地コンボ系デッキに強いため、墓地対策サイドを基本割いていない」という側面が原因かな?と、ふんわり思っています。
ただ、もしかしたらこれも青黒や青赤と同じく、相手が上手ければ相性が逆転したりするのかもしれません。
青赤/青黒と同じく、《忍者》は最優先で処理します。
・サイクリングストームなどコンボ系:
《虚無の呪文爆弾》など刺さるサイドを引けるかどうかと、あとはシンプルな速度勝負になります。
サイクリングストームくらい速いと無理、半端な速度なら間に合う、といったところ。
・呪禁オーラ:
切ってます。当たったことありませんが、たぶん無理でしょう。
《アルマジロの外套》《絆魂》《本質の収獲》を引かれずにブン回って速度勝ちするか、《焦熱の連続砲撃》が綺麗に刺さることを祈ります。
・グルール(+α)の続唱ビートダウン:
たぶんトントンといったところです。あんまり回数当たってないので怪しいですが。
サイド以降はお互い1枚で勝負が決まりうるクリティカルなカードのぶつけ合いになるので、相手のサイドボード構築次第で大きく相性は変わります。
・《浄化の野火》+破壊不能土地
それなりにマナを伸ばす必要があるデッキなので、噛み合うには噛み合います。今はバウンスランドが担っている役割をこれに持たせつつ、親和やトロンの土地基盤に対してメインから干渉できるようになります。
また、うまくいけば《血》と合わせて《感電破》なんかもいけるかも。
ただ、何かと不安定なところがあります。
具体的には「”共鳴者+マッドネス”だけでなく《野火》コンボまで入れてしまうと、シンプルにマリガンが安定しない」「《塵は塵に》など親和メタのカードがそのまま刺さりうる」というところ。どちらも無視できません。
また、《鉱滓造の橋》はいいとして、5枚目以降の破壊不能土地をどうするかに難儀します。色マナはカツカツなデッキなので《ダークスティールの城砦》は厳しく、仮にやるなら赤+何かのタップイン土地を使うのが(弱いですが)現実的そうです。
・ビートダウン+バーン
クリーチャーの項で少し書いた、ビートダウン寄せについて。
そちらに書いた通り、自分の理念の問題で一度離れたプランですが、単純な勝率ベースで言えばそれなりに(現在の構成より)高かったので、その方針に試しに戻してみてもいいかなと思っています。
赤緑マッドネスのようにシンプルな本体火力入りアグロというよりは、どちらかといえば黒単バーンのような「基本はバーン軸で、一部優秀な軽量クロックを入れる」形になると思います。
この線で動くなら、相手がサイドボーディングで除去を抜きづらくなり動きづらくさせられるのもメリットなので、《水流破》を入れることが打ち消しと除去の兼任にならないよう、《美食家》以外は黒のクロックをメインにしたいです。
となると、《グール・ドラズ》《台所のインプ》を足すのが綺麗にまとまるように思います。
どこまで寄せるか次第ですが、ノンクリーチャー軸では完全に採用圏外だった《血の泉》《冥界への呼び声》なども候補に入ってきます。
が、あまりマッドネスでクリーチャー軸に寄せすぎると、《拷問生活》を採用してそこに寄せた方が綺麗なリストになってしまいうるので、その辺りは線引きを見極めていきましょう。
ここまで読んでくれた方がいるなら、本当にありがとうございます。長旅お疲れ様でした。
自分がこれまでで一番”絆”を感じた愛機の紹介とあり、少し熱が入ってしまい、論文のような文章量になってしまいました。
ですが、誰も同じコンセプトを使う仲間がいない中でこれだけのめり込めたくらいには面白いデッキですので、よければ遊んで沼に落ちてみてください!
おわり!