2022年1月 Pauper 禁止/制限更新 翻訳文

  • 2022.1.21
    その他
    PauperMTG

    ■はじめに

    Gavin氏による禁止/制限更新の日本語訳を掲載致します。

     

    日本の皆様に取り急ぎお伝えするため、PauperMTGにて翻訳したものです。
    ※事前にGavin氏了承のもとPauperMTGにて翻訳致しました。

     

    国内向けの正式な翻訳・発表につきましては、公式のアナウンスをお待ちください。
     
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    ■1月21日 19:00追記
    国内向けの正式な翻訳が発表されました。
    https://mtg-jp.com/reading/publicity/0035733/

     

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    告知日:2022年1月20日

     

    ・《エイトグ/Atog》禁止
    ・《眷者の装飾品/Bonder’s Ornament》禁止
    ・《予言のプリズム/Prophetic Prism》禁止

     

    発効日(Magic Onlineと卓上):2022年1月21日、太平洋時間午前10時頃にMagic Onlineに適用されます。

    フォーマット別の全禁止・制限カード一覧は、公式サイトをご確認ください。

     

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    先週、私は「Pauper Format Panel」、略してPFPを発表しました。
    これは、Pauperフォーマットに精通したコミュニティ・メンバーからなる新しいグループで、フォーマットの変更を推奨し、変化のレベルを加速させることを目的としています。

     

    このグループが結成されて間もない頃から、多くの素晴らしい議論、洞察、分析が行われてきたことを、私は本当に誇りに思っています。
    先週、私達は禁止改訂の提言をまとめあげ、さらにいくつかの審査を経て、今、自信を持ってそれを世に送り出すに至りました。
    私達7人は全員一致で、この禁止改訂に同意しました。

     

    ビデオでこれについてご覧になりたい方は、こちらをご覧ください。
    (※訳注)今回の禁止改訂について、Gavin氏がWeeklymtgチャンネルでも紹介しています。動画で見たい方は、そちらをご覧ください。

     

    それでは、理由を説明しましょう。

     
     

    ■《エイトグ》

    まず、最も明確なことは、親和に対して何かが必要であったということです。
    理由は主に2つあります。

     

    1. 人気と影響力が極めて高いことです。
    これを定量化するために、我々はMagic Onlineでのプレイ数を見てみましたが、このデッキは最も人気のあるデッキであり、次に人気のあるデッキの2倍以上でした。
    全体的な勝率では意外にも優勢ではありませんでしたが、その理由のひとつはメタゲームの歪みが考えられます。4枚の《塵は塵に》は、サイドボードの選択肢に留まらず、メインデッキにまで採用されていました。
    《無効》《古えの遺恨》《鋼の妨害》《悪ふざけ》《ゴリラのシャーマン》《存在の破棄》などのカードが、サイドボードを埋め尽くしていました。
    そのフォーマットへの影響は凄まじく、不健全といえるものでした。

     

    2. このデッキのプレイパターンは、非常に非対話的で苛立たしいものであり、速度が速くブロックできない方法でゲームを終わらせます。
    多くのフィニッシュは、《エイトグ》と《大霊堂の信奉者》、あるいは《エイトグ》と《投げ飛ばし》や《結婚式への招待状》による「20数える」スタイルのフィニッシュによって支えられています。
    時には、《呪文貫き》のような打ち消しのバックアップすら携えています。
    親和が強力なスタートを切ったとき、通常は《エイトグ》と複数の《大霊堂の信奉者》があれば、最初の数ターンのうちにキルを仕掛けることができます。

     

    《エイトグ》が愛されるカードであり、『アンティキティー』で初めて登場して以来、人々が楽しんできたものであることは承知しています。
    Pauperがこのカードでプレイするチャンスであることを気に入っている人もたくさんいます。
    そこで、我々は他の選択肢をいくつか検討しました。

     

    強力なスタートの多くは、複数の《大霊堂の信奉者》を持つ《エイトグ》によって支えられているので、我々は最初に《大霊堂の信奉者》について話しました。
    しかし、《エイトグ》こそがその問題の核心といえるカードであり、ダメージの大部分を与えることができる、無料で繰り返せる生け贄手段を与えているのです。
    仮に《大霊堂の信奉者》がいなくなっても、《投げ飛ばし》や《結婚式への招待状》をより多く採用する動きが見られるだけでしょう。
    《大霊堂の信奉者》は、以前のバージョンのデッキでは使用されることすらなかったカードです。

     

    また、モダンホライゾン2で追加されたブリッジランドを禁止することも話しました。
    そうすれば、デッキは『モダンホライゾン2』以前の状態に戻るでしょう。
    しかし、これにはいくつかの課題があります。

     

    ひとつは、ブリッジランドがこのフォーマットの他のクールなデッキを成立させていることです。
    《浄化の野火》とのシナジーがプレイされていますが、これは今のところ強力ではありつつも、楽しくてフェアなシナジーであるようです。
    ラクドス金属術のようなTier外デッキが、これらを効果的に使っているのです。
    そして今回の禁止によって、それらがプレイされる機会が増えるかもしれません。
    ブリッジランドの1つ2つを禁止することもできますが、親和がプレイする色の数を考えると、その極めて外科的なアプローチでは問題を解決できる保証はありません。
    さらに、ブリッジランドは使うが《エイトグ》は使わないで速攻で仕留める、楽しいバージョンの親和があるかもしれないとも考えています。

     

    我々は《命取りの論争》も調査しました。
    昨年のこの新カードは、デッキに追加の2ドローを与え、同時に色を安定させます。
    しかし、このカードは長期戦での回復力と復帰可能性を高めるものであり、現在のバージョンとは対照的に、私達が健全だと考える長期戦プランにデッキを導くものです。

     

    最終的に、私達は《エイトグ》を禁止しない理由を見つけようとしましたが、それは明らかに正しい選択であるように思えました。
    私達は他の選択肢を調査し、そのたびに《エイトグ》に戻り続けたのです。

     

    私達の希望は、《エイトグ》コンボで相手を倒す現在のバージョンとは対照的に、親和が《甲殻の鍛冶工》のようなカードを使うバージョンに戻り、大型クリーチャーによるアグレッシブなデッキとなることです。
    我々は《エイトグ》がそれらのデッキにも登場したことを知っていますし、簡単な代用品があるわけでもありません。
    《間に合わせの砲弾》を携えた《大霊堂の信奉者》は、マナを必要とする方法によって、依然としてこのデッキに可能性を与えています。

     

    《エイトグ》が禁止されたので、今後のB&Rの発表で《滞留者の相棒》をデッキに戻せる可能性は十分にあると考えています。
    しかし、私達は現時点ではその変更を望まず、禁止後の親和がどうなるかをまず見守りたいと考えています。

     

    皆さんの多くは、親和の禁止を予想していたことでしょう。
    他の禁止についてはもう少し説明が必要かもしれませんので、掘り下げて説明します。

     
     

    ■《眷者の装飾品》と《予言のプリズム》

    《エイトグ》禁止が確定したことで、他にどんなデッキが出現し、新たな問題となりうるかを探りました。
    私達は皆、ウルザトロンのデッキから何かを当てる必要があることに同意しました。
    理由は多く挙げられます。

     

    ・トロンが非常に強力であることは、データが裏付けています。MOリーグでの勝率はトップクラスで(「親和」よりも高いが、「トロン」に対するヘイトは少なかった)、サイドボード後のマッチアップ勝率を見ると、ほぼすべてのデッキに対してプラスの勝率を記録しているのです。

    ・親和は第1ゲームで『トロン』に対して優位を取れました。トロンはサイドボード後に有利なマッチアップに移行しますが、それには多くのカードを投入する必要がありました。親和が大幅に弱体化したことで、トロンはサイドボード枠を取り戻し、このフォーマットを支配するデッキとなる可能性が出てきました。

    ・モダンホライゾン2以前、多くのプレイヤーが「安定したPauperのフォーマットがあった」と言うとき、トロンは最も支配的なデッキでした。

    ・トロンは多くのミッドレンジやコントロールデッキを押しのけ、このデッキが生み出すマナとカードの優位に対抗するのは非常に困難です。

    ・我々は昨年《探検の地図》を禁止し、インパクトを与えようとしましたが、その禁止はほとんど効果がありませんでした。

     

    私達は、このデッキに害を与えつつも完全に排除しないために、ここでいくつかの禁止改訂の可能性を調査しました。
    ウルザトロンの土地を除去することでこのデッキを完全に禁止することは可能ですが、私達はむしろそのような極端な方法を取る前に、その力を弱める方法を見つけたいと考えています。
    私達が攻撃しなかったカードと、攻撃したカードの理由を説明したいと思います。

     

    我々が注目したカードの1つが《一瞬の平和》で、このデッキは安定するまで攻撃的なデッキからターンを稼ぐために使っているからです。
    (親和のトロンに対する強さは、戦闘外で《大霊堂の信奉者》と《投げ飛ばし》を使ってトロンを倒せることでした)
    《神秘の指導》とのシナジーも問題で、《神秘の指導》1枚で戦闘ステップを4回スキップすることになり、必要な時間を見つけることができる可能性が高いのです。

     

    しかし、《一瞬の平和》の代わりとなるものはたくさんあります。
    《もつれ》は弱いですが、《一瞬の平和》と同じようなことができます。
    その次の選択肢として、《中休み》も検討できます。
    親和がなくなったことで、トロンのリストが《石角の高官》を追加で使用できる可能性も高くなりました。
    さらに、これはアグレッシブなデッキに対して弱体化させるという軸でトロンを叩くだけです。

     

    もう1つのカードは、《神秘の指導》そのものです。
    このデッキのツールボックス・エンジンは、長期戦で必要なものを何でも見つけることができる、大きな強みです。
    この「フラッシュバック付き教示者」は、確かに禁止カードにふさわしいと言えます。
    しかし、《神秘の指導》のエンジンを《強迫的な研究》のようなもっと直接的なドロースペルや、《禁忌の錬金術》のように回答を探すカードに置き換えれば、このデッキの汎用性は少し低くなりますが、それでも多くの点で同じように強力なままです。
    そして最後に、《神秘の指導》は以前UBコントロール・デッキで使われていたカードです。
    このデッキは、他のプレッシャーによってほとんどメタから消えてしまいましたが、いずれコントロール・デッキを作るために戻ってこられるかもしれません。

     

    また、安定してトロンを揃えるために《神秘の指導》がサーチできるカード、《輪作》にも注目しました。
    彼らは通常2枚を使用します。
    しかし、それはデッキの安定性にわずかに影響するだけです。

     

    最後に、《記憶の壁》と《幽霊のゆらめき》または《儚い存在》でこのデッキが作ることのできるループに影響を与える禁止についても調べました。
    また、これらの「ブリンク」カードの一部が、将来的にフォーマットの健康上の問題になる可能性もあります。
    しかし、それらの駒はかなりの冗長性を持っており(《幽霊のゆらめき》《儚い存在》《相変位》)、《神秘の指導》でサーチ可能な1枚か2枚でデッキのプランに小さな役割を果たすだけです。
    それらは、デッキの勝利と長期戦でのアドバンテージを可能にしますが、その準備にかなりの時間を要し、最終的には他の多くの勝利条件に変換されうるものです。

     

    しかし、私達が検討する中で、何よりもトロンデッキができるワイルドで強力なことは、「大量のマナにアクセスでき、全色の最高のカードをすべてプレイできる」ということです。
    このデッキが5色すべてを「無料で」プレイできるのは、《眷者の装飾品》と《予言のプリズム》によるところが大きいといえます。
    このデッキを強くしているのは、どの色でも最良の答えがあれば《神秘の指導》を唱えたり、サイドボード後に何でもアクセスできたりといったことです。
    12枚の無色土地を採用したこのデッキは、5色すべてのマナにいつもアクセスしたいのです!
    実際に、多くのトロンのリストでは、これらのカードが4枚フルで使用される唯一のカードとなっています。(他のカードは《熟考漂い》や《衝動》であることが多いです)

     

    《眷者の装飾品》は、この2つのうち、より問題があります。
    そもそも競技的な構築フォーマットでの使用は想定されておらず、統率者デッキのレアリティの技術的な都合でコモン収録されたカードですが、このカードによってトロンは決してガス欠になることなく、統治者デッキやあらゆるコントロールデッキと難なく歩調を合わせられるようになりました。これは大きな問題です。
    以前は、そういったデッキもトロンに対して一矢報いることができましたが、《眷者の装飾品》が加わったことで長期戦をカバーできるようになりました(すでにマナを生産できるカードが、です)。
    デッキのプレイを見ると、ボロス統治者は苦労して統治者を維持して、毎ターン追加のカードを引いています。
    その一方で、トロンはただ肩をすくめて、マナランプのアーティファクトで引き続けるだけなのです。

     

    《眷者の装飾品》を禁止するだけでは不十分で、オーナメント以前にも5色のトロンデッキは繁栄していました。
    《予言のプリズム》は、できるだけ多くの色をプレイしようとするデッキの定番であり、その代表格が「トロン」です。
    トロンデッキではほとんどコストをかけずにマナを解決し、自身を置き換えます。(※訳注:「ドローに置換する」という意味だと思います)
    もし人々が《虹色のレンズ》のようにカードを1枚置くバージョンに戻したり、《彩色の星》のようにパーマネントでないバージョンに戻したりしても、それは実質的に変化したと言えるでしょう。

     

    さらに、《予言のプリズム》の汎用性の一部として、別の強力なエンジンである《幽霊のゆらめき》を腐らせないことに役立っています。
    《幽霊のゆらめき》は盤面に《予言のプリズム》があれば常にキャントリップすることができ、これはここでも他のデッキでも《幽霊のゆらめき》のパワーをわずかに低下させることになります。

     

    《予言のプリズム》は、以前はボロス統治者のような、他のフェアなデッキでプレイされていましたが、《予備物資》のような2マナのキャントリッピングアーティファクトが他にもあり、マナを極端に安定化させる必要のないデッキでは、《予言のプリズム》を入れることはなくなりました。

     

    より大きなフォーマット規模において、5色すべてを「無料で」簡単にプレイできる(自分自身を置き換える)カードは、とにかくフォーマットにとって健全ではないのだろうと考えています。《予言のプリズム》はしばらくの間、その立場を担ってきました。
    はっきり言って、《マナリス》と《マナの大鉢》は問題ではありません。私達は「《マナリス》が良すぎるようになるまですべてを禁止する」という道を歩んでいるわけではありません。
    これは、唱えるためのマナと、カードを引くことの両方が問題なのです。
    この理念は、パワーと色へのアクセスを自由にしすぎるという理由で複数のフォーマットで禁止されている《アーカムの天測儀》を禁止することと、それほど変わりません。
    これは追加のマナを必要としますが、「トロン」のようなデッキではそれほど要求されるものではありません。

     

    引き続き5色問題を見ていくと、《予言のプリズム》は現在の「親和」デッキでも(非重要な2-3枚として)使用されており、その5色デッキを活性化する一助となっています。
    これは、コストなしでプレイできる色の多さを考えると、結局問題であることがわかります。
    私達は、「《予言のプリズム》が親和にも入っているため、親和にも影響が出る」ということは許容してよく、むしろ良くなると見ています。

     

    色を安定化させるカードが禁止されたことで、我々はRUG中心で大型クリーチャーへのターボを中心としたトロンデッキが増えると予想しています。
    現在Magic OnlineでHorobiというプレイヤーがプレイしている続唱トロンというバージョンがあり、《大渦の巨人》《乗り込み部隊》《苛立つアルティサウルス》などのカードを持っていて、これは強力ですが現在の5色コントロールバージョンよりも対応しやすいゲームプレイとなっています。
    過去には「ファングレン・トロン」というRUGデッキがありましたが、これも似たようなもので、このフォーマットでは健全なトロンデッキとして広く受け入れられています。

     

    最後に、親和における《滞留者の相棒》のように、将来のB&Rアップデートで《探検の地図》を戻す可能性もありますが、そのデッキにカードを戻す前に、メタゲームとトロンがどうなるか見てみたいと思っています。

     

    ■タイムライン

    このことがフォーマットにどのような影響を与えるかについて、私達はたくさん話をしましたし、これによってフォーマットに多くの動きが起こるだろうと予想しています。
    次に何が起こるかを確信するのは難しいことでした。

     

    フェアリーや統治者、ブリンクに特化したデッキなどは以前から強かったし、今回の禁止で打撃を受けることはありませんでした。
    最終的にそれらのデッキは、捕食者とともに、うまくいくかもしれないし、そのうちの1つ(あるいは他のデッキ)がテーブルの上座を占めるかもしれません。
    私達は、この大幅な変更の後に何度も試行錯誤をするのではなく、これらを制定し、フォーマットがどのように変化し、どのようなデッキが開放されるかを見たいと考えています。
    そして、『神河:輝ける世界』のプレビュー・シーズンから発売までの間、このフォーマットを監視していきます。
    短期的にさらなる変更がある場合は、これらの禁止改訂後のメタゲームがどのように落ち着くか、また『神河:輝ける世界』によるフォーマットへの影響を確認するため、3月に見られる可能性が高いでしょう。

     

    もし何かご意見やご質問があれば、PFPの誰にでもお声掛けください。
    新しいPauperフォーマットを楽しんでいただけることを願っていますし、どんなものが出てくるかチャレンジ(今週末のものも含めて!)を楽しみにしています。

     

    Gavin、Pauper Format Panelを代表して:
    Alex Ullman – @nerdtothecore
    Alexandre Weber – @Webermtg
    Emma Partlow – @Emmmzyne
    Gavin Verhey – @GavinVerhey
    Micro Ciavatta – @Heisen011
    Paige Smith – @TheMaverickGal
    Ryuji Saito – @Saito_o3

     

    ■おわりに

    翻訳文は以上です。

    PFPに参加させていただいたこともそうですが、このような形で国内向け告知の場を設けさせていただくことができ、大変光栄です。

    Pauperをより楽しいフォーマットにできるよう、今後も努力してまいりますので、よろしくお願いいたします。

     

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