はい、どこに需要があるかわからない企画紹介コラムの時間です。いつものです。
今回はOONSによる紹介になります。
MTGにおける”白vs黒”の歴史は古く、その象徴として有名な《白騎士》《黒騎士》などはα版から収録されているカードです。
MTGプレイヤーに流行りの「すべての人類を破壊する。それらは再生できない。」でも第1話から扱われており、”MTGおじのイメージする古き良きマジック”として認知されていると言っても過言ではないでしょう。
Pauperでも、この2枚は白単・黒単の5-0リストで採用されていた実績もありますし、
弊チャンネルでも二度ほど取り上げています。
今回はその”白vs黒”を、Pauperベースの特殊構築企画として落とし込み、動画化するに至りました。
具体的なルールとしてはこんな感じです。
<白黒ガンメタ対戦企画>
・カードプールはPauper
・さいとーは”黒”、OONSは”白”を担当する
・お互いに、相手が黒(白)を使うことは前提としたうえで、全力で勝ちを目指す
⇒つまり、一般的なメタゲームを無視して、全力でメタり合う真のタイマン勝負
・いわゆるEDHの固有色と同じ判断基準にて、他の色は使用不可
⇒例えば、《はらわた撃ち》《損ない》《オルゾフの聖堂》などは使用不可
まずは、各色の特徴について、この対戦に影響しうるところに絞り箇条書きでリストアップしていきます。
少しだけ書き足しましたが、以下がこの環境におけるデッキ構築を考える上で自分が作成し参照した一覧です。
※撮影日の都合で、モダンホライゾン2のカード、具体的に言えば《台所のインプ》は加味していません。
<白黒共通>
・お互いの色に対するプロテクション
・シャドーによるブロック回避
<黒>
・布告(プロテクション潰し)
・欠色呪文(プロテクション潰し)
・《黒死病》《墓所のネズミ》など全体火力
・《息詰まる噴煙》による全体マイナス修正
・《堕落》など本体火力
・《魂の刈り取り》《アスフォデルの灰色商人》など軽減できないライフルーズ
・畏怖によるブロック回避
・《暗黒の儀式》からの高速展開
・《夜の囁き》《血の署名》などテンポの良いアドバンテージ確保
・《抜去》《精神ねじ切り》などハンデス
・《発掘》《死体発掘》《拷問生活》など墓地活用
・土地破壊呪文が豊富
・マッドネスカードはあるが、ディスカード手段が《拷問生活》以外弱い
・アーティファクトへの対応が《抜去》などハンデスしか無い
・エンチャントへの対応が《大群への給餌》《ファリカの献杯》しか無い
・打ち消しは(そうそう)無い
・飛行は弱い、到達はいない
<白>
・割と万能
・土地以外のパーマネントへの対応は可能
・トークンを雑に出す(布告潰し)
・《黒の防御円》《虹色の断片》などダメージ軽減
・打ち消しは(そうそう)無い
・ライフゲインは豊富
・《暁の魔除け》による本体火力やハンデスへの対応
・《コーの空漁師》などCIPによるアドバンテージ確保
・《儚い存在》によるブリンク
・《Holy Light》による全体マイナス修正
・墓地活用は無い
特徴としてはこの辺りが挙げられるかと思います。
かなり大まかに言えば、黒の方が押し付け手段が強力、白の方が対応手段が強力、といった印象です。
次に、この特徴を前提としたうえで、まず黒側がどのようなデッキを考えうるか?という候補を考えていきます。
・白メタミッドレンジ
⇒シンプルに、白対策カードや、黒対策に強いカードなどを積んだミッドレンジ。白側の黒対策に対する回答を入れつつ、《Order of Leitbur》《ファイレクシアの殺害者》など対処のしづらい脅威を押し付け切って勝利を目指す。押し引きのバランス調整が難しい。
・除去コントロール
⇒全体除去/布告除去/欠色除去と、プロテクションを無視できる除去手段は多い。統治者なり2マナドローなりチェイナーなりでアド差つけてフィニッシュ。いわゆる「堕落コン」をこのフォーマットに合わせて調整するようなイメージ。防御円対策になりうる《ファリカの献杯》を無理なくメイン採用できるのが強い。
・黒単アグロ
⇒プロテクション生物はどちらもサイズが弱く、かつ白側のプロ白対策筆頭である《黒の防御円》も動き出しが遅いため、初手《暗黒の儀式》から高速クロックを並べれば押し切ることができる。《暗黒の儀式》を引けずとも、白がチンタラした黒対策に傾倒していれば十分押し切れる。
・黒単バーン
⇒黒単バーンのバーン呪文は全てライフルーズなので、白の軽減では対応できず、《暁の魔除け》やライフゲインでしか対応できない。ただ、ライフゲイン自体は無色を含め色々選択肢がある。
・メガハンデス
⇒序盤からのハンデス連打でトップ勝負に持ち込み、墓地活用なりドロースペルなりで優位に立つ。
・マシーンヘッド
⇒《暗黒の儀式》から《大胆な盗人》《黒薔薇の棘》などに繋ぐ。白側の構築によってかなり左右されるのと、初手《暗黒の儀式》の有無によっても左右されるため何かと安定しない。
・黒単トロン
⇒実質的に無色トロンに近い形での構築にはなるが、《自己組立機械》なり《ウラモグの破壊者》なりが普通に強い。ただ《探検の地図》が無いため安定せず白単ウィニーに狩られかねないのと、アーティファクトの活用と対策は白の方が長けることからトロンミラーも怪しいことが気掛かり。
・黒単金属術
⇒おそらく無いとは思われるが、《冷たき集いの吸血鬼》や、《マイアの処罰者》を叩き付けられると面倒ではある。黒単トロンのついでにアーティファクト対策をしておけば潰せそう。
・リアニメイト、拷問生活
⇒白側の構築によってかなり左右されるが、虚を突いたこのあたりの墓地コンボデッキも考えられる。なお、どれにしても、単色にする都合でデッキパワーは落ちる。なおDamned Comboなんかも考えられるが、《黒の防御円》の存在を考えるとリスキー。
こんなところで、結構多いうえに多彩ですね。
次は白…と言いたい所なのですが、白は大枠での選択肢自体はかなり少ないと見ていいと思います。
というのも、白はコンボなど押し付け手段が豊富な色ではないので、
①白単英雄的ベース
②白単ウィニーもしくは白単金属術ベースのウィニー
③無色トロンベースの何か
④メタに合わせたオリジナルフェアデッキ
というのが少ないながら考えられつつ、
①白単英雄的は黒がコントロール軸で来てしまうと厳しい
②白単ウィニーも黒がコントロール軸で来てしまうと厳しい
③白単トロンは色々試したが安定せず黒単ウィニーに狩られる
といった感じで、各コンセプトデッキがあまり魅力的でないのです。
安定性であったり、相性差による一方的な敗北のリスクであったり、そのあたりを考えると「④メタに合わせたオリジナルフェアデッキ」に半ば強制的に帰結することになります。
まずは結論から行きましょう。ドン。
・メインボード
4:《きらめく鷹/Glint Hawk》
4:《スレイベンの検査官/Thraben Inspector》
4:《コーの空漁師/Kor Skyfisher》
2:《黒曜石の見習い僧/Obsidian Acolyte》
2:《祖先の刃/Ancestral Blade》
3:《祖先の像/Ancestral Statue》
3:《堅牢な玉座守り/Staunch Throneguard》
1:《航海士のコンパス/Navigator’s Compass》
4:《予備物資/Spare Supplies》
2:《鋸刃の矢/Serrated Arrows》
2:《未達への旅/Journey to Nowhere》
4:《黒の防御円/Circle of Protection: Black》
12:《平地/Plains》
4:《カビーラの交差路/Kabira Crossroads》
4:《隔離されたステップ/Secluded Steppe》
4:《光輝の泉/Radiant Fountain》
1:《憑依された沼墓/Haunted Fengraf》
・サイドボード
4:《塵は塵に/Dust to Dust》
3:《カストーディの従者/Custodi Squire》
2:《名誉の斥候/Honorable Scout》
2:《天界のほとばしり/Celestial Flare》
2:《Holy Light》
1:《祖先の刃/Ancestral Blade》
1:《鋸刃の矢/Serrated Arrows》
細かいところについて全部解説するとサーバの容量を使い切ってしまうので、簡単に箇条書きで構築の要所をまとめていきます。
・黒から見て「対応しづらい」「対応できない」こちら側の押し付け手段(脅威)として、以下を主軸と定めた。
①《黒の防御円》
⇒《ファリカの献杯》《大群への給餌》で簡単に対策できるように見えるが、どちらを打たれてもこちらがテンポかライフで得をするうえ、そもそも白単ウィニーの存在を考えると黒側はこれらのカードをメインからガン積みすることは難しく、やはり強力。相手の脅威を受ける手段という意味でも、ビートダウンに限らず《黒死病》《堕落》などに強く出られるため、本体火力という勝ち筋を1つ潰すことができる。
②《コーの空漁師》などCIPによるアドバンテージ確保
⇒打ち消しの無い黒単では、CIPを活用したアドバンテージ確保を阻害することはできない。これによって「黒側の除去が多くても少なくても問題ない(どうせ打ち損なため)」という意味で、黒側の構築バランスに左右されにくい構築となる。また、ナチュラルにアーティファクトを積めるため、《精神ねじ切り》への耐性も少しながら上がる。
③《ホネツツキ》に一方を取られないサイズの飛行クロック
⇒黒側には《ホネツツキ》《ファイレクシアの殺害者》《禿鷹エイヴン》くらいしか優秀な飛行生物がおらず、後ろの2体はテンポの悪さから採用するにせよ少数枚に抑えられることが予想される。そのため、《ホネツツキ》とぶつかっても問題ないサイズの飛行クリーチャーの物量をそれなりに確保できれば、②のアドバンデージと合わせて黒側が受け切れない攻め手となると考えた。
・上記主軸と噛み合いが最高なカードとして、《堅牢な玉座守り》を採用する。
⇒《黒の防御円》による戦闘ダメージ潰し、飛行クロックによる統治者争いの強さ、そして《黒の防御円》で止められない無色クリーチャーを概ね止められるタフネス5という数値。また、《コーの空漁師》シリーズで出し直すこともできる。主軸と定めた①②③の全てと噛み合うマスターピースとして採用した。
・相手の除去呪文に対して優位を取りやすくしつつ、《禿鷹エイヴン》や《ホネツツキ》+強化手段によってこちらの飛行クロックが通らなくなった際に無理矢理通すことを目的として、《黒曜石の見習い僧》を採用。ただ、除去呪文には元々強めな構築であり、飛行クロックが通らなくなる可能性もかなり低いと見込んでいたため、必要最低限の2枚に抑えた。
・こちらはクリーチャー除去よりも《黒の防御円》と飛行クロックで勝ち切る構えなので、恐れるべくはお互いに並んだ状態の《アスフォデルの灰色商人》。また普通に軽減できない黒単バーンも怖い。
⇒全力の2点ゲインランド8枚体制と、《航海士のコンパス》を1枚。《コーの空漁師》シリーズで使い回し可能(土地は《コーの空漁師》のみ)。《航海士のコンパス》はライフゲインが要らない相手へのバリューが低すぎて1枚に抑えたものの、CIPバウンス勢をテンポ良く展開したいときに役に立つため、2枚でもよかったかもしれない。
・上記《アスフォデルの灰色商人》のバリューを下げることや、《禿鷹エイヴン》などをどかすことを目的として、最低限の除去を投入。安定しており《コーの空漁師》シリーズで付け替えができる《未達への旅》を2枚と、《Order of the Ebon Hand》を筆頭としたプロ白によく刺さり再利用可能な《鋸刃の矢》を3枚採用。
・《コーの空漁師》シリーズの使い回しによって、布告除去を中心とした除去コントロールへの耐性を上げつつ、黒単アグロ相手の防衛手段としても役立つ、《祖先の刃》を採用。もう一度やるなら《台所のインプ》への耐性を踏まえ1枚増やすと思われる。
なお、この枠は《皮剥ぎの鞘》の方がテンポ良く動けて《予備物資》とマナ域をずらせる。が、細菌トークンは黒。そして俺は白単兵士の男。宗教的な理由から、使うわけにはいかなかった。
・デッキの構造上土地を伸ばす必要があるため土地は大目に採用しつつ、《隔離されたステップ》《憑依された沼墓》でマナフラ回避。《憑依された沼墓》は1枚増やしても良かったかもしれないが、無色土地が多くて困ることもあるので悩ましい。
・《黒の防御円》は、《予備物資》エンジンや統治者ドローなど重ねて引きに行ける4枚で十分と考え、《黒の防御ルーン》は採用しない選択を取った。
・《Order of Leitbur》は黒単アグロ系へのブロッカーとして強力であるものの、大き目の無色クリーチャーで簡単に止まってしまい、除去耐性としても布告や《息詰まる噴煙》が通ってしまうため信頼できないこともあり、不採用とした。
今回の構築であれば、プロ黒よりも、《コーの空漁師》《きらめく鷹》で除去呪文を打ち損にしつつ飛行クロックを通す方が手っ取り早い。
・サイドボードは、黒単トロンや黒単金属術対策《塵は塵に》、除去コントロール対策《カストーディの従者》、黒単アグロや黒単バーン対策《名誉の斥候》《Holy Light》、大きめ生物やプロ白+オーラへの対策《天界のほとばしり》、メインのバランス調整《祖先の刃》《鋸刃の矢》を採用。
・こちらがメインから《大祖始の遺産》を積んでもおかしくない(必要牌を探しに行くドロソ運用も最悪できるため)ことから、墓地活用デッキの採用は無いと想定し、サイドボードは他に全力で割いた。これはある程度”さいとーさん読み”の部分もあるので、もし見知らぬ相手とやるなら多少はサイドボードなりメインボードの一部なりをそこに割いていたと思う。
…と、ざっくりこんなところです。
結果としては、概ね想定通りな感じでデッキが回り、押し付け切ることができました。
ただ、《エヴィンカーの正義》は認識したうえでプロ黒を加味すると無いだろうと思っていましたが、《眼腐りの虐殺》は正直言って完全に想定外で、結果的にそこまで痛くはなかったものの、普通にビビりました。
今回のようなプールが狭い特殊構築好きを謳っていましたが、まだまだ甘かったですね。
次回はどんなクソフォーマットをやるのか自分でもわかりませんが、次回こそは毎ターン「あ、これ進研ゼミでやったところだ!」と宣言できるよう精進して備えます。