OONSです。
早速ですが、こんな企画があったのを覚えている方はいますでしょうか。オリジナルデッキ構築企画
募集、してたんですよね。“2022年の”6月締めで。
しかしGoogle検索というのは酷なもので、そんな賞味期限は意にも介さず、全国の皆様へ企画ページを表示するわけです。
そうすると、どうなるか。
こういうことが、起きるわけです。
2022年の当時は優しい身内からしか募集が来ず、お母さんからしかバレンタインチョコを貰えなかった学生時代を思い出しながら頓挫した当企画。復活させていきましょう。よろしくお願いします。
<注意事項>
「要望を伝えて他人にデッキを組ませるのを楽しむ」ことが趣旨の企画です。プロプレイヤーやベテランスパイクのような完璧なアドバイスというより、「そういうのもあるのか」という感じで見ていただければ幸いです。
簡潔にまとめると、
・《ティムールの激闘》を使いたい(スタン時代の愛着)
・《サイバの暗号術師》を擦りたい
※長いので、以後サイバ君と呼びます。
とのことでした。
気持ち的な理由、最高ですね。こういうのを待ってました。
4:《サイバの暗号術師/Saiba Cryptomancer》
4:《グールの解体人/Butcher Ghoul》
4:《ギルド公認のこそ泥/Guildsworn Prowler》
3:《探求者の従者/Seekers’ Squire》
2:《ディミーアの浸透者/Dimir Infiltrator》
4:《夢尾の鷺/Dreamtail Heron》
4:《洞窟で囁くもの/Cavern Whisperer》
2:《呪文貫き/Spell Pierce》
2:《払拭/Dispel》
2:《使徒の祝福/Apostle’s Blessing》
4:《実験的占い/Experimental Augury》
2:《予想外の牙/Unexpected Fangs》
2:《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》
4:《海門/Sea Gate》
4:《黒竜門/Black Dragon Gate》
2:《ディミーアのギルド門/Dimir Guildgate》
2:《崖門/Cliffgate》
4:《バジリスク門/Basilisk Gate》
3:《岡門/Heap Gate》
1:《島/Island》
1:《沼/Swamp》
3:《破壊的一撃/Shattering Blow》
3:《嵐縛りの霊/Stormbound Geist》
3:《水流破/Hydroblast》
2:《紅蓮破/Pyroblast》
2:《ゴリラのシャーマン/Gorilla Shaman》
2:《闇の旋動/Spinning Darkness》
まずはこの構築について、良い面・気になる面を考えていきます。
呪禁と変容が噛み合い、変容と不死が噛み合い、不死と呪禁が(布告避けとして)噛み合う綺麗な三角形。芸術的です。
変容を引けずとも、クリーチャーの小粒さは《バジリスク門》で補完できるようになっています。
+1/+1カウンターによる細かい修整のおかげで、本来パワー3止まりの《夢尾の鷺》も《ティムールの激闘》の獰猛を達成しやすくなっています。
不死やサイバ君の+1/+1カウンターが《実験的占い》と噛み合い、増殖デッキとしても機能しています。
サイバ君を含めコンバットトリックになりうる要素が多く、乗り手の技量でどんどん強くなりそうです!
サイバ君が4枚しか無い都合で、一貫した構築のためには《ディミーアの浸透者》や《使徒の祝福》を入れざるを得ず、歪な形を強いられている印象を受けました。
+1/+1カウンター/変容/《バジリスク門》という「(テンポ的に)ゆったりしたサイズ修整カード」が多く、役回りがかぶるように思えました。
タップイン土地と、サイズで見たマナレシオが小さめの生物が多く、かつ除去札や警戒/絆魂付与などが少ないのが気になりました。
序盤中盤に展開負けしてしまい、サイズ修整しても手遅れという場面が多そうかなと。
こんなとこですかね。
これらを意識しつつ、要件である「サイバ君+《ティムールの激闘》を前提として、構築案を考えていきます。
まずは2枚の深堀りから。
右下の提灯みたいなのが可愛いですよね。
自分以外のクリーチャーを守ることを含めた「除去耐性」が主な強みです。
最も注目されやすい呪禁付与は勿論のこと、布告除去も瞬速から出て行って潰すことができ、全体除去に対しても「+1/+1カウンター付与で他生物を守れる」「自分に乗せれば瞬速1/2なので《電謀》や《息詰まる噴煙》などをケアして出しやすい」という強みがあります。
また、+1/+1カウンター付与はコンバットトリックにもなったり、重ね引きした時に点に寄せる動きが取れたり、地味に輝く場面はあります。
ただし、「他のクリーチャーを守る」ことにおいては、2マナかつクリーチャーである点が響きます。
例えば《ニヴィックスのサイクロプス》など果敢系のワンショットを補佐するには果敢を誘発させられず、青単のようなデッキでは「クリーチャーを守るだけのパワー1クリーチャー」に2マナは重いので、「サイバ君をメインエンジンとして活躍させるデッキ」を目指すうえで、これらのアーキタイプに組み込むというのは怪しい方針であるように思います。
なお、《カルドーサの再誕》など1/1を多く採用するアグロデッキが多い環境であれば、呪禁の1/2というだけでそこ相手に輝けますが、この考え方も「サイバ君を活躍させるデッキ」という話からは逸れてしまう感じがしますね。
突然の二段攻撃+トランプルによる、ダメージレースの破壊が持ち味。
獰猛を達成しないとトランプルは得られませんが、そもそもトランプル+二段攻撃が輝くのは高パワーとの組み合わせなので、そこまで気になりません。
ただし、1枚1枚のアドバンテージが大事と言われるPauperにおいて、こういう「使い捨ての一時的な強化呪文」に求められるハードルはかなり高いといえます。これを除く多くの一時的強化は、タフネス上昇や呪禁付与によりクリーチャーを守る動きを取れたり、ドローがついていてアド損が無かったり、そういうものばかりです。
だからこそ、そんな中でも使われるこのカードは、通した瞬間に相手のライフを0にしてゲームを終わらせることでアドバンテージを無視するギミックのあるデッキでの採用が基本になっています。
ただ、今回はその基本原則に沿おうとするとサイバ君が抜けるので、別の方針を考えます。
具体的には、「絆魂を付けることで二段攻撃の効果を実質的に倍増し、ゲームエンドとはいかずともダメージレースをひっくり返す役割を持たせる」という方針です。
投稿いただいたリストでも《予想外の牙》が入っていますが、要するにそれと同じです。
これに寄せた構築にできれば、序盤の展開遅れもカバーしやすく、かつサイバ君の除去耐性と噛み合うのではないかと思います。
気になる点に書いた通り、役回りの被るカードが多いというのは個人的にあまり好ましくないところです。
というわけで、メインギミックはここに寄せます。
<理由①>
後述しますが、今回はコンセプト的に3色以上のマナベースが必須になります。
そのため、ゲートのマナベースを自然に採用できます。
<理由②>
サイズの上昇幅と、重ね引きしたときの強さです。
+1/+1カウンターだとサイズの上昇幅があまり大きくなく、変容は何枚引いてもサイズが足し算されるわけではないことから、ともに盤面への影響力が足りないと判断しました。
また、クリーチャーを呪禁に寄せているので、サイズアップが活きるものを中心に、オーラも色々採用します。そのあたりは後述。
まず、サイバ君+激闘の時点で青赤が内定していて、絆魂付与のために白もしくは黒が内定。
次に、緑を触るかどうか?を考えます。
赤はタッチでもよさそうなことを考えると、4cゲートのようなマナベースで4色を目指すことも可能でしょう。
緑には、呪禁に噛み合う各種オーラや《Finishing Move》、門サーチやライフゲインなど様々な恩恵があります。
ただ、今回緑は触らない方針としました。理由は以下。
<理由①>
単純に、タップインが増えて更に展開速度が下がるのが気になりました。
特に「サイバ君を2ターン目に出せる期待値を上げる」ためにも、基本土地枚数をある程度確保したかった次第です。
<理由②>
4c化すると、呪禁オーラ3兄弟を含め色々採用できてしまうせいで、煮詰めるうちにどうしてもサイバ君が抜けてしまいました。
なので、明確にサイバ君を使う理由を作るために緑を避けたかったという部分も正直あります。
そして、先に挙げた白と黒の採択。今回は白を選びました。
ざっくり言えば《歩哨の目》《天上の鎧》《未達への旅》が欲しかったことが理由ですが、元の構築と同じ黒で考えてみるのも全然アリだと思います。
サイバ君の見せ場を作るなら「除去耐性の無いクリーチャーを入れる」ことになると思います。
ですが、サイバ君でクリーチャーを守る思想の構築だと、構築に一貫を持たせるためにはサイバ君だけでは足りず《使徒の祝福》的なカードを追加で入れたくなり、そういったカードはサイバ君と重ね引きした時に微妙…というスパイラルに陥ってしまいます。あとどうせならサイバ君自身をしっかり戦わせたい。
なので、サイバ君はあくまで「全体除去に強い呪禁生物」と捉え、青から出せる《ぬめるボーグル》を5~8枚目のサイバ君として採用しつつ、呪禁オーラ+ゲート軸で一貫した構築を目指していきます。
クリーチャーが8枚だけだと不安定ですが、そこは青のドローの力でどうにかします。どうせ4枚の《バジリスク門》の引く引かないで出力が変わるデッキなので、ドローソースの力で全部引いていきましょう。
また、単に何度も回してみての感覚的な部分ですが、1~2枚《ヘリオッドの巡礼者》を入れておくと安心感がありそうです。ちょっとした布告避けやチャンプブロッカーも兼ねて。
絆魂付与が必要と言っていた枠。
《魂の絆》は《絆魂》と大体同じですが、回復タイミングが少し遅い(ブロッカーとしての性能が少し下がる)代わりに、重ね引きした時に強力になります。
《コー追われの物あさり》のような能力を与えるこのオーラ、地味ながら強力です。
今回は緑に触らず強力なトランプル付与手段が無い以上、ブロッカーを超えて戦闘ダメージを本体に届かせる手段が何かしら欲しく、このカードのアンブロッカブル能力は良い感じにその穴を埋めてくれます。
ルーティング効果も、《バジリスク門》や各オーラなどのパーツ集めに役立ちます。
また、やっていることに忍者感があるので、うちのサイバ君はご満悦です。よかったね。
また、話が少し前後しますが、白を選ぶ理由としてこの《歩哨の目》が欲しいと書いたのは、《警備の抜け道》のルーティング効果との噛み合いが一番の理由だったりします。
ゲートエンジンを入れるなら土地もできるだけ捨てたくないので、「捨てていいカード」が欲しかった次第です。
流行りの赤単に対しても警戒付与が良い感じですし。
ただ、《歩哨の目》で警戒をつけたところで、《バジリスク門》は自分のターンだけなので小さいブロッカーが立つだけになってしまいます。
ですので、呪禁オーラほどの爆発力を目指すわけではないにせよ、ブロッカーとしてのサイズを担保するこのカードも入れるに越したことはなさそうです。
布告避け兼、《天上の鎧》と近いブロッカー性能を上げる枠。
あまり強くはありませんが、《ヘリオッドの巡礼者》からサーチできるよう、1枚欲しいです。
序盤の遅さを誤魔化しつつ、《天上の鎧》と噛み合います。
このカードの採用は、サイド以降の相手のエンチャント破壊が効きまくってしまうというリスクを孕むので、赤い火力除去にするのも良いと思います。
今回は、序盤に赤が出なくてもいい形にしたかったことから、このカードにしています。
マナベースは、色選定の項に書いた通り、なるべくテンポよく動けるようにしています。
ドローソースが多いことから《海門》《砦門》を探しやすく、中盤以降の《ティムールの激闘》のための赤マナ確保はできそうなので、ほぼ完全に青白ベース。
基本土地の一部を《岡門》にしてもいいかもしれませんが、構築上不特定マナシンボルが多くないこともあり、あまり今回のデッキに合うとは思えませんでした。
それでは、これまでの話を75枚のリストにしてみましょう。
サイドボードはこの後に説明します。
4:《ぬめるボーグル/Slippery Bogle》
4:《サイバの暗号術師/Saiba Cryptomancer》
1:《ヘリオッドの巡礼者/Heliod’s Pilgrim》
4:《定業/Preordain》
4:《思案/Ponder》
4:《魂の絆/Spirit Link》
1:《絆魂/Lifelink》
3:《天上の鎧/Ethereal Armor》
3:《歩哨の目/Sentinel’s Eyes》
1:《結束のカルトーシュ/Cartouche of Solidarity》
4:《警備の抜け道/Security Bypass》
2:《ティムールの激闘/Temur Battle Rage》
4:《未達への旅/Journey to Nowhere》
4:《海門/Sea Gate》
4:《砦門/Citadel Gate》
3:《アゾリウスのギルド門/Azorius Guildgate》
4:《バジリスク門/Basilisk Gate》
4:《島/Island》
2:《平地/Plains》
3:《真紅の見習い僧/Crimson Acolyte》
4:《軍旗の旗手/Standard Bearer》
2:《払拭/Dispel》
4:《妨げる光/Hindering Light》
1:《鋭い痛み/Flaring Pain》
1:《天上の鎧/Ethereal Armor》
ここは正直「周囲のデッキによる」としか言えませんが、極論メインボードだって全部そうなので、気にせず感覚でいきます。
オーラやコンボなどへの対策。ものによりますが、ゲートデッキにも。
オーラやコンボの阻害は打ち消しでも可能ですが、サイドから打ち消しを数枚入れたところでそれらへの相性はどうにもならないと判断し、通せばそのまま勝ちうるカードを4積みする形にしています。
ただし彼はオーラに対して後引きしてもどうにもならない(ハードマリガンを強いられる)ので、そこが気になるなら《真心のハープ奏者》《エンチャント移動》《Remove Enchantments》などもアリかもしれません(一部のコンボやゲートなどは野放しにしてしまうことになるので注意)。
対赤や対親和(《クラーク族のシャーマン》)を意識しています。
《フリーウィンド・ファルコン》もアリです。こちらは飛行がついている分、《警備の抜け道》を引かない場合(もしくはそもそもサイドアウトする場合)の遂行速度が良い感じです。
※どちらにせよ、《ティムールの激闘》を当てられない点にはご注意を!
土地破壊と布告除去がどちらも刺さってしまうので、どちらにも対応できるカードを。
ただしマナ拘束が地味に重いので、環境次第で1マナの土地破壊対策や布告対策に切り替えてもいいと思います。
《ブレス攻撃》《息詰まる噴煙》や、(《黎明運びのクレリック》に対する)《儚い存在》、《幻触落とし》《心に静寂》《天界のほとばしり》など、サイド以降は特に嫌なインスタントが多そうなので。
対白で、ダメージレースを《虹色の断片》でごまかして押し切られるのが癪なので。
サイズの安定感を上げたい場合に。
ブロッカーを用意することが大事なアグロ相手に良さそうです。
もし《ティムールの激闘》をサイドアウトすることが多そうなら、門の赤指定をする必要が無くなるので、そこを緑に回して《アルマジロの外套》《嵐の乗り切り》など緑のカードをサイドに入れてみても良いかもしれません。
あのねッ…なくなっちゃった……もらった…原型…
まぁ、投稿者の方に最終リストお見せした際も特に怒られなかったのでよしとします。
怒られなければヨシ!仕事と同じ!
ごちそうさまでした!