Pauper細かいルーリング紹介~種類別~

  • 2021.6.19
    その他
    OONS

    はじめに

    OONSです。

    いつものルーリング記事(初回はこちら)の続編になります。

     

    今回は「種類別」という、オブジェクトの特性に継続的に影響する効果(継続的効果)の分類に関わるルール定義について説明します。

     

    他フォーマットの話になりますが、有名な議題である「《血染めの月》と《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》が同時にあると、アーボーグを含めた各土地は何になるのか?(※ちなみに山になります)」のような課題を解決するルールで、MTGに慣れている方でもけっこう曖昧になりがちな部分だと思います。

     

    ■”種類別”について

     

    ・継続的効果は、下に記載する種類に分類する。オブジェクトへの継続的効果は、この上から順に適用される。

     

    ・単一の効果が複数の種類別を含むこともある。
     その場合は、そのうちどれか1つの種類別としてまとめて扱うことはせず、それぞれを順番通りに適用する。

     

    ・ある効果が複数の種類別に分類されていて、いずれかの種類別においてその効果が適用されはじめた場合、この効果を生み出している能力が途中で失われたとしても、その能力からの効果はそれぞれの種類別で適用される。

     

    (それぞれ具体的な例は下の方にまとめて記載します)

     

    ・第1種:コピー可能な値を変更する効果
     ・1a:コピー可能な効果の適用(例:変容、《原初の土》)
     ・1b:裏向きの呪文やパーマネントの特性の適用(例:変異、予示)

     

    ※コピー可能な値(ざっくり):印刷されている各情報に、「コピー効果」「裏向きにする効果」「戦場に出るに際し(or表になるに際し)P/Tを定義する効果」を加味したもの。

     

    ・第2種:コントロール変更効果(例:《反逆の印》)

     

    ・第3種:文章変更効果(例:《Balduvian Shaman》、連繋)

     

    ・第4種:カード・タイプ・サブタイプ・特殊タイプ変更効果(例:《風のゼンディコン》、《ナイレアの存在》、多相)

     

    ・第5種:色変更効果(例:《野生の雑種犬》)

     

    ・第6種:能力追加効果、キーワード・カウンター、能力除去効果、能力を持つことを禁止する効果(例:《狩人スリヴァー》、《予想外の牙》、《木化》)

     

    ・第7種:パワー・タフネス変更効果
     ・7a:パワーやタフネスを定義する特性定義能力の効果(例:《マトカの暴動者》、《野生の末裔》)
     ・7b:パワーやタフネスを特定の値にする効果(例:《夜空のミミック》、《蛙化》)
     ・7c:パワーやタフネスを(特定の値にするのではなく)修整する効果(例:《巨大化》、+1/+1カウンター)
     ・7d:パワーとタフネスを入れ替える効果(例:《裏返し》)

     

    ※特性定義能力(ざっくり):「無条件に自身の色/サブタイプ/パワー/タフネスを定義する常在型能力」がこれにあたる。

     

    (例①)

    《不屈の部族》の起動型能力を3回起動し、《裏返し》を唱え、《不屈の部族》の起動型能力をさらに2回起動したとする。
    その場合、唱えたり起動したりした順序とは関係なく、3+2回分の《不屈の部族》の起動型能力(第7c種)が先に適用され1/21になり、《裏返し》の効果(第7d種)が適用され21/1になる。

     

    (例②)

    《夜空のミミック》に対して、《オルゾヴァの贈り物》を唱えたとする。

    その場合、ターン終了時まで、《夜空のミミック》自身の誘発型能力(第7b種)によって4/4になり、《オルゾヴァの贈り物》のパワータフネス修正効果(第7c種)によって5/5になる。

     

    (例③)

    相手側に3体並んだ《捕食スリヴァー》のうち1体に3点のダメージを与えた上で、《反逆の印》でコントロールを奪ったとする。
    その場合、《反逆の印》のコントロール奪取効果(第2種)によるコントロール変更が先に適用されるので、相手側の2体の《捕食スリヴァー》のパワータフネス修正(第7c種)の範囲内にはならず、自身のパワータフネス修正効果(第7c種)と《反逆の印》に置かれた+1/+1カウンター(第7c種)の効果のみを受ける。
    結果、サイズは3/3となり、《稲妻》による3点ダメージによって破壊される。

     

    (例④)
    ※pauperプールに良い例が見当たらなかったため、他フォーマットのカード《待ち伏せ司令官》を絡めます。

    《待ち伏せ司令官》に《木化》を貼ったとする。
    その場合、《木化》の「能力を失わせる」効果(第6種)が適用される前に、《待ち伏せ司令官》の「森はエルフ・クリーチャーである。それは土地でもある(第4種)」「森は緑である(第5種)」が適用されるため、それらの効果と同じ単一の効果に含まれている「森は1/1である(第7b種)」も失われず適用される。

     

    ■種類別が被る場合の適用順について

     

    ・「特性定義能力⇒それ以外」の順で適用する。

     

    ・他の効果に依存する効果があるなら、その依存先すべての効果が適用された直後にそれを適用する。

    ※依存(ざっくり):「同じ種類別で、特性定義能力か否かも同じで、片方によって片方のテキスト/効果の発生有無/効果の適用範囲などが影響を受けること」を指す。

     

    なお、記事冒頭の《血染めの月》《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ》問題は、このルールによって「血染めの月の効果はアーボーグの有無に関係ないが、アーボーグの効果が適用されるかどうかは血染めの月の有無に影響されるため、アーボーグは血染めの月に依存していることになり、《血染めの月》が先に適用されるため、すべての土地は山になる」という結論になる。

     

    ・上記の順序を加味したうえでも、複数の効果が同時に適用されることになったら、それらはタイムスタンプ順に適用される。

    ※タイムスタンプ(ざっくり):「戦場に出た時点」や「効果が発生した時点」を指す。

     

    ・複数の効果の依存性がループしているのなら、上記のルールを無視してそれらはタイムスタンプ順に適用される。

     

    (例)

    《ナイレアの存在》と《広がりゆく海》が同一の土地につけられているとする。
    その場合、この2種のサブタイプ変更効果(第4種)は、どちらも特性定義能力でなく、お互いに依存していないため、タイムスタンプ順に適用される。つまり、後につけられた方のサブタイプ変更効果によって、前に場に出た方のサブタイプ変更効果が上書きされる。

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